第44話 『世界調和装置』、起動!そして深い眠りへ……
アークスとの「ゆるふわ総力戦」から、数日。
『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も空をゆったりと移動しとったわ。窓から差し込む陽の光が、船内を明るく照らしとる。
ミオの工房は、文字通り「動く世界の中心」や。
(うわぁ、世界平和って、ほんま簡単に実現するんやなぁ!うち、天才かもしれへん!)
ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。
資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。ひんやりと、そして柔らかい感触が、ミオの心を癒す。
『世界調和装置』の設計も無事に終わって、あとは作るだけになったんや。
これは、これまでのどの生産物よりも複雑で、膨大な想像力と魔力を必要とするんや。
でも、ミオは、そんなこと気にせえへん。
(必要かどうかちゃうねん。作りたいから作る!それがうちのロマンやねん!)
ミオは、にっこり笑いながら、資材スライムたちに指示を出した。
「ほな、スライムはん!材料集め、お願いやで!」
資材スライムたちは、嬉しそうに「ぷるるるるーっ!!」と返事をして、素材を探し始める。
彼らは、王都の資材庫や、フロンティア号の倉庫、さらには次元の狭間から、必要な素材を次々と運んでくる。
透明な輝きを放つ結晶や、虹色の液体が滴る植物、まるで星の欠片のような石ころ。
それらは、この世界には存在しない、不思議な素材ばかりやった。
資材スライムたちは、そんな珍しい素材をモグモグと食べ、体内に貯め込んでいる。
『世界調和装置』の生産は、数日間にわたる、大規模な作業になった。
ミオは、工房の真ん中で、巨大な魔法陣を前に、魔力を集中させる。
頭の中では、世界調和装置の完璧な設計図が、ぐちゃぐちゃに絡み合い、組み立てられていく。まるで、宇宙の設計図を読み解いているみたいや。
膨大な魔力と集中力を要する生産や。
代償の眠気が、徐々にミオを襲い始める。
脳の奥から、頭のてっぺんから、瞼の裏から、重い眠気が押し寄せてくる。
「ふぁ~あ……ねむ…い……」
ミオは、睡魔と戦いながらも、指先を動かし、魔法陣を刻み、魔力を注入していく。彼女の額には、汗が滲み出ている。
資材スライムたちは、ミオの周りに集まり、彼女の眠りを守るように団子になって寝る。
時折「ぷるぷる、がんばれぷる!」と応援するような音を出す。その音は、ミオの集中力を妨げることなく、心地よいBGMとなる。
(うぅ、みんな、うちのロマンに付き合ってくれてるんやなぁ……)
ミオは、資材スライムたちの応援に、ちょっとだけ元気をもらった。
ライオスやシエラたち「暁の剣」パーティも、工房の周囲で警戒にあたっている。アークスはんも、真剣な顔でミオの生産を見守っている。
フィオナは、ミオの顔色を心配そうに見つめながら、温かいハーブティーを差し入れた。
「ミオさん、無理はしないでくださいね。少し休んだらどうですか?」
フィオナの優しい声に、ミオは小さく首を振った。
「だ、大丈夫やから……もうすぐ、完成やから……」
激しい戦いの中、ミオはついに『世界調和装置』を完成させ、起動させた。
工房の真ん中で、巨大な装置が、まばゆい光を放ち始める。その光は、工房全体を包み込み、窓から外の空へと広がっていく。
装置から放たれる膨大な魔力と光が世界を包み込み、次元の歪みを「さくっと」修復し始める。
空に走っていた亀裂が、まるでガラスが元に戻るように、ゆっくりと閉じていく。その音は、まるで囁き声のようだ。
地面の陥没も、みるみるうちに元通りになる。大地が、ゆっくりと息を吹き返す。
王都の人々は、空の異変が元に戻っていくのを見て、空を見上げて歓声を上げた。
「空が……元に戻ったぞ!」
「奇跡だ!眠りの魔女の奇跡だ!」
アークスは最後の抵抗を試みるが、調和の力によって徐々にその破壊の力が打ち消されていく。
彼の体から放たれる黒い光は、白い光に飲み込まれ、弱まっていく。
「な、なんだと!?ワタシの破壊の力が……!こんなはずでは……!」
アークスは、混乱した表情で後退する。彼の顔は、悔しさで歪んでいる。彼の放つ破壊の光線は、もはや蚊を払う程度の威力しかない。
ミオは、その光景をぼんやりと見つめていた。
(よし、成功……)
そう思った瞬間、意識は深い闇の底へと沈んだ。
馬車の床に、泥まみれのまま、私は倒れ込んだ。
ミオは代償により深い眠りに落ちるが、夢の中で世界の再生を心地よく感じ取る。
資材スライムの寝顔守護:
ミオの周りに資材スライムたちが団子になって集まり、彼女の寝顔を守るように寄り添う。
彼らの体から、優しい光が放たれ、ミオの体を優しく包み込む。その光は、まるで子守唄のようだ。
(あー、めっちゃ気持ちええなぁ……)
ミオは、資材スライムたちに囲まれて、至福の眠りについた。
夢の中で、ミオは、創造主からの「お昼寝の誘い」を感じながら、世界の再生を心地よく感じ取っていた。
広大な宇宙に、新しい星々が生まれていく。その一つ一つが、ミオの創造の輝きを放っているかのようだ。
(ふふふ……これぞ、最高の引きこもりライフやなぁ……)
夢の中で、ミオは、また新たな美味しいお菓子のレシピを思いつく。
そのレシピは、世界の再生のエネルギーを使って作られる、究極のスイーツやった。
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次回予告
世界を救ったうちの功績が、歴史に刻まれるで!
アークスはんとの真の和解は、どうなるんやろか!?
そして、アルティ村の少年と、まさかの感動の再会!?
うちのチート生産の旅は、まだまだ続くで!
次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?
第45話 アークスの真意と工房での再出発
お楽しみに!
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