第40話 過去の創造主の足跡と破壊者の残念な過去
次元の狭間でのゆるふわ素材探索から、数週間が経ったんや。
『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も空をゆったりと移動しとったわ。
ミオの工房は、文字通り「動く世界の中心」や。
(うわぁ、世界平和って、ほんま簡単に実現するんやなぁ!うち、天才かもしれへん!)
ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。
資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。
あの時、白い空間で出会った「上位存在」と名乗る、どこか暢気な神様。
彼が言うには、世界にはまだ「ちょっとした」課題が残っとるらしいねん。次元の壁の「ほんの少しの」綻びやて。
未確認のエネルギーが流入して、ごく軽微な世界の変質が起きとるらしい。
それを正すために、うちに「ゆるやかな再創造」に近い大規模な生産を要求しとるんや。
「それに、アークスくんも、本当は君と同じ『創造主の代行者』の一人だったんだよ。ただ、ちょっとね、過去に要領が悪くて失敗しちゃって、絶望から『破壊』の道を選んじゃったのさ。ワタシたちが『ちょっと間違って送り込んじゃったかなー、テヘペロ』って感じだね」
上位存在は、アークスのことを、まるで失敗作の子供みたいに説明する。
(えぇ~!?あんなにシリアスな顔しとるのに、神様の手違いなん!?アークスはん、めっちゃ可哀想やん!)
ミオは、アークスの残念な過去に、ちょっとだけ同情した。
フロンティア号は、次元の狭間をさらに奥へと進んでいった。
そこは、この世界には存在しない、奇妙な輝きを放つ素材がゴロゴロ転がっとる場所や。
資材スライムたちは、「ぷるぷる~!」と嬉しそうに飛び回り、新しい素材をモグモグと見つけ出す。
その素材で、ミオは面白いものを生産し始めた。
光を食べる魔物には、虹色に輝く『光の玉』を与えると、大人しくなってペットになったり。
重力が不安定な場所では、『浮遊ブーツ』をサクッと作って、みんなで空を飛んで移動したり。
(うわぁ、めっちゃ面白い素材ばっかりやん!これ、どんなん作れるんやろ!?ロマンやなぁ!)
ミオは、資材スライムたちが集めてきた素材を見て、目を輝かせた。
旅の途中、一行は、次元の狭間に浮かぶ、ひときわ大きな浮遊島にたどり着いた。
その島には、古びた遺跡が残されとる。
『初代創造主の足跡』。
エリアスが、古文書でその存在を知っていた場所や。
遺跡の中は、薄暗くて、壁には古代文字がびっしり刻まれている。
そこには、遥か昔、この世界を創造したとされる「初代創造主」の残した足跡や、その技術の記録が、光る文字として空中に浮かび上がっていた。
エリアスが、その光る文字を解析していく。
「これは……!創造主の技術記録……!そして、これは……転生者の記録!?」
エリアスの声が、興奮で上擦る。
光る文字が紡ぐ物語は、ミオの「究極の生産」能力の真の姿や、世界の成り立ちを明らかにするものやった。
そして、そこに、アークスはんの残念な過去も。
アークスは、かつてミオと同じように、この世界を救うために召喚された転生者やった。
彼は「究極の生産」能力を持ってたんやけど、要領が悪くて、ちょっとドジなところがあったらしい。
世界を救うために、一生懸命生産活動に取り組んだんやけど、肝心なところで失敗しちゃう。
例えば、食料不足を解決しようと『超巨大パン』を作ったんやけど、巨大すぎて誰も食べられへんかったり。
疫病を治す薬を作ったんやけど、効果が強すぎて、みんなが一日中寝てしまう、なんてこともあったらしい。
その結果、「人々がちょっと困っちゃった」という、残念な過去があったんや。
何度も失敗を繰り返し、人々を困らせてしまったアークスは、次第に絶望に陥っていった。
そして、彼は「こんな中途半端な生産では、世界は救えない」と考えるようになる。
「世界を根本から変えるには、一度全てを破壊し、ゼロからやり直すしかない!」
そうして、彼は「究極の破壊」の道を選んだんや。
「……あー、アークスはんも、大変やったんやなぁ……」
ミオは、アークスの残念な過去を知って、ちょっとだけ同情した。
(でも、破壊するより、美味しいもん作って、みんなで笑う方がええやん!)
ミオは、資材スライムが持ってきた珍しい果物をモグモグしながら、アークスをちらりと見た。
アークスは、遺跡の隅で、資材スライムに破壊魔法の原理を熱心に教えている。資材スライムは、それを嬉しそうにモグモグしている。
(ま、いっか。うちのお菓子で元気出してくれたらええねんけどな!)
ミオは、そう思いながら、また資材スライムをモフモフした。
フロンティア号は、新たな知識と、資材スライムたちが集めた珍しい素材を積んで、次の目的地へと向かう。
ミオの『究極の生産』能力が、いよいよ世界の、いや、次元のバランスをゆるやかに整える旅に出たんやな。
工房の仲間たちも、この奇妙な次元探索に、戸惑いつつも楽しんでいる。
王族も魔族もドワーフもエルフも、みんなで力を合わせ、未知の領域を探索していく。
资材スライムたちは、彼らの足元で、新しい素材を見つけては、嬉しそうに「ぷるぷる~!」と鳴いている。
この旅は、ミオにとって、最高のロマンと、美味しいお菓子の発見の連続やった。
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次回予告
世界を救う最終兵器、『世界調和装置』の設計が始まるで!
めちゃくちゃ複雑な設計に、うちの頭も眠気も限界突破!?
資材スライムはんたちは、そんなうちを応援してくれるんやろか!?
そして、神様からの「お昼寝の誘い」って、一体なんやろ!?
次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?
第41話 『世界調和装置』のゆる設計
お楽しみに!
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