第27話 未知のダンジョンと伝説の素材探索

世界会議で、ミオの『人工輝光石』と『魔力循環システム』のおかげで、世界規模の環境問題がサクッと解決してから、数日後。

『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、新たな目的地へと向かっとったわ。

ミオの工房は、今日も平和で賑やかや。

(うわぁ、世界平和って、こんな簡単に実現するんやなぁ!うち、天才かもしれへん!)

ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、ちょっとだけ得意げやった。


「ミオさん!次の目的地が見えてきましたよ!」

ライオスが、フロンティア号の窓を指差して叫んだ。

窓の外には、空を突き刺すような、不気味な巨大な穴が見える。

『虚無の回廊』。

そこは、この世界でも「未踏のダンジョン」として知られる場所やった。

伝説の素材『世界樹の雫』が眠ると言われている場所や。

(うぅ、なんか、見た目からしてめんどくさいダンジョンやなぁ……)

ミオは、ちょっとだけ及び腰になる。


「ほう、ここが『虚無の回廊』か……。古文書によれば、このダンジョンは、世界の始まりの時代から存在するという。伝説の素材『世界樹の雫』が眠るとは、興味深い!」

エルフの学者エリアスが、目を輝かせながら遺跡を見つめる。

ドワーフのゴルムはんも、興奮した様子で鼻息を荒げとる。

「世界樹の雫だと!?それは、我らがドワーフの鍛冶技術の限界を超える素材じゃ!ぜひ、ワシに構造を学ばせてくれ!」

ライオスたち「暁の剣」パーティも、未踏のダンジョン攻略に、冒険者としての血が騒いどる。

ルナリア姫とリリアーナ王女も、好奇心いっぱいの目でダンジョンを見つめていた。


フロンティア号は、ダンジョンの入り口にゆっくりと着陸する。

入り口からは、ひんやりとした空気が流れ出てくる。

(よし!ダンジョン攻略は、資材スライムはんにお任せや!)

ミオは、にっこり笑って、資材スライムたちに声をかけた。

「スライムはん、ここ、ちょっと探してみてくれへん?なんか面白いもんないかな?」

資材スライムたちは、「ぷるぷる~!」と嬉しそうにダンジョンの中へと散っていく。

茶色のスライムは、地面の土をモグモグとかじり、隠された通路を探す。

銀色のスライムは、壁の鉱石を舐めては、隠された罠がないか確認する。

キラキラ光る魔石スライムは、ダンジョンに眠る魔力を感知して、ミオに方向を示す。


ダンジョンの中は、薄暗くて、迷路のように入り組んでいた。

そこには、危険な罠や、未確認の魔物たちが待ち受けているはずやった。

やけど、資材スライムたちは、そんな危険なんか気にせえへん。

「ぷるっ!」

罠を感知すると、その場で資材スライムが地面に穴を開け、罠を解除する。床に仕掛けられた落とし穴も、スライムたちがふさいでしまう。

「ぷるる~?」

未確認の魔物たちが現れると、資材スライムが魔物の体の一部をモグモグしようとして、魔物が困惑して動きが止まる。その隙に、ライオスたちが魔物をサクッと無力化していく。

(うわぁ、スライムはん、便利すぎやん!ていうか、魔物、あんなに困惑するんやなぁ。可愛い)

ミオは、資材スライムたちの万能さに、改めて感心した。


ダンジョンの最奥で、一行は、まばゆい光を放つ巨大な樹を発見した。

それこそが、伝説の素材、『世界樹の雫』やった。

世界樹の雫は、世界の生命力を維持する根源的な存在であり、その魔力は、世界の始まりの時代からこのダンジョンに眠っていたと言われている。

その輝きは、まるで小さな太陽のようやった。


「な、なんという魔力……!これほど純粋な魔力は、見たことがない!」

エリアスが、震える声で呟く。

ゴルムはんも、世界樹の雫の輝きに、目を奪われている。

「これほどの素材、我らがドワーフの鍛冶師の夢じゃ!」


ミオは、世界樹の雫にそっと触れた。

その瞬間、雫から温かい光がミオの全身を包み込む。

ミオの能力が、微かに反応した。

(あれ?なんか、眠くなってきた……)

ミオの視界が、ぐにゃりと歪む。

「ふぁ~あ……」


ミオは、世界樹の雫の前で、そのまま眠りに落ちた。

資材スライムたちが、ミオの周りに団子になって集まり、彼女の寝顔を守るように寄り添う。

その光の中で、ミオの夢の中に、不思議な光景が広がった。

それは、遥か昔、この世界が創造された時の記憶のようなものだった。

光に満ちた空間で、何かの「存在」が、素材を組み合わせて世界を創り出す。その手つきは、ミオが生産を行う時と、驚くほど似ている。

そして、その「存在」は、世界が完成すると、深い眠りにつく。

ミオの「究極の生産」能力は、この世界の「創造主」の力を一部受け継いだものであり、世界のバランスが崩れた際に転生者として召喚された、という事実の片鱗を、彼女は夢の中で見たんや。

(なるほどなぁ……うち、もしかして、神様やったんかなぁ……)

ぼんやりと、そんなことを考えていると、夢の中に、もう一つの影が現れた。

それは、破壊の力を司る存在。

アークスや。

夢の中のアークスは、悲しそうな顔で、ミオに語りかけてきた。彼の声は、どこか遠くで響くようだった。

「なぜ、お前は世界を創り続ける……?この世界は、もう……」

夢の中で、ミオの能力の起源と、アークスの存在の片鱗が、ぼんやりと示唆されたんや。


その夢から覚めると、ミオの頭の中には、世界樹の雫を使った新たな生産のヒントが満載やった。

「ねーねー、エリアスはん!この古代文字、もしかして、こういう意味なんちゃう!?」

ミオが、目を輝かせながらエリアスに話しかける。

エリアスは、ミオの言葉に驚き、石板の文字を改めて確認する。

「な、なんと!?確かに、そなたの言う通りに解釈すると、この記号は『魂の鍛造術』を示す……!」

失われた古代の技術の断片が、ミオの夢と知識によって、今、蘇ろうとしていたんや。

フロンティア号は、新たな知識と、資材スライムたちが集めた珍しい素材を積んで、次の目的地へと向かう。


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次回予告


古代の守護者と、まさかのお菓子外交!?

うちのチート生産能力は、どんな強敵も懐柔できるんやろか!?

そして、資材スライムはんたちは、どんな新しい芸を見せるんやろ!?

次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?


第28話 古代の守護者とお菓子外交


お楽しみに!

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