第6話
「葵結君、友達作ろう私と」
「え、何で?…あ、俺もう行かなきゃ」
「どこに?」
「学校」
学校…え、今7時だよ、それに夏休みでは
「あぁ、俺、定時制の方なんでこれからなんですよ。だから友達も出来なくて……」
「……………」
「じゃあ行きますね」
行っちゃった…どうしよう、どうすれば………
(急にすみません、お話したいことが)
メールを送って見た、隼也君からもらった手紙にお母さんの電話番号そしてメールアドレスが書かれていた。
(なんですか?)
メールは以外にも早く返信が来た、私は今日葵結君から聞いたことを全て話した
(……ってことで、ご存知でしたか?)
(はい)
(じゃあなんで)
(あの子はうちの子ではないので)
信じられない、血は繋がってなくても息子でしょ
(それよりも旦那の機嫌の方が……)
(もしかして首のアザ旦那さんにやられたんですか?)
(誰にも言わないでください、しばらくは帰ってこないので)
あぁ、この人も被害者なんだ…だからって何しても良いわけではないけど……
(分かりました、ただ何かあったら教えて下さい。葵結君が心配なので)
そこからは返信がなかった………………………
ピンポーン次の日も同じようにチャイムが鳴った。
「どうしたの、葵結く……」
そこに立っていたのはたけおじさんだった……
「いや〜急にごめんね」
「いえ、で、どうしたのたけおじさん」
「あぁこれをね」
たけおじさんはスイカを差し出した。
「そう、お母さんと食べて、」
「ありがとうございます!あ、すみませんお母さん今寝てて……」
「良いよ、うちの奥さんも昨日は楽しかったって、言ってたし」
「そうですか…」
「あと、玲子ちゃんに話があって」
話、何の話だろう
「なら、中に……………………………
「すみません、麦茶しかなくて」
「いやいや、気にしないで」
「それで話って?」
たけおじさんは1枚のチラシを差し出して…そこには勉強会っと書かれていた
「これって…」
「今度地域の子供達と勉強会を自治会ですることになってね、玲子ちゃんほら教師でしょ勉強教えてくれないかなって」
勉強会、地域の子たちと仲良くなる機会、これだ!
「やる、やるよ、たけおじさん」
「ほんと助かるよ」
「あ、あと、高校生のこと小学生の子2人連れてってもいい?」
「いいよ〜、参加は自由だから、お金も取らないしね」
これで、葵結くんにも友だちができるのかもしれない………………………………
「勉強会ですか…」
「そう来週の日曜にあるんだけど来ない」
「勉強するの?」
!?、びっくりした葵結君の腕の中からひょこっと俊也くんが顔を出した
「俊也くんもいたんだね、どう勉強!?」
「勉強キライ…」
ですよね……
「わかりました、いきます」
「良いの?」
「友だちが増えるチャンスですからね」
「おにぃいくなら行く」
「……」
「どうしたんですか」
「いや、別に………」
葵結くんって意外に明るいっていうか、やっぱり俊也君のお兄ちゃんなんだな……あと俊也くんこころなしか元気がないような…
「あ、スイカ食べる?」
「スイカ?」
「そう、今日もらってお母さんと2人じゃ食べ切れないからさ」
「じゃあいただきます。あの、お母さんと二人って…」
「私のお父さんね、私が生まれてからこの家から逃げてっちゃたの。今何しているのか、生きているのかも知らない」
「ごめんなさい…」
「別にいいのよ…」
私はこの村に育てられた、たけおじさんも美桜のご両親もみんなが支えてくれた。だから葵結君とも仲良くしてほしい。
「あ、引き止めちゃってごめんね、これスイカ」
「ありがとうございます。あの」
「ん、なあに?」
「明日も来ていいですか?」
「良いよ、私暇だし」
「…………」
あれ、葵結君の顔が赤い気が、もしかして体調悪い…
「葵結君、顔赤いよ大丈夫?」
「熱くないです、大丈夫です、もう帰ります」
「そう……」
行っちゃった…やっぱり心配だな」
(無理しないでね)っと、何かあったらメールくれるでしょ
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