第3話

「俺、隼也の兄の葵結です」

「………」

この子どこかで見たことあると思ったら、たけおじさんが話してた………

ドン

「隼也君?」

「お姉ちゃんあそぼー」

えぇぇと、

「隼也、お姉さん困ってるから」

「遊ぶの〜」

「良いよ、遊ぼうか」

どうせ暇だし、それに隼也君のお母さんも気になる。あの時見えたアザ、何かにとても怯えているような感じがしたから…

「あの〜」

「あ、何か予定でもあった?」

「そうゆうわけでは…」

「あそぼー」

隼也くんが手を引っ張る

「隼也」

「どこ行くの?」

「分かんない」

「何するの?」

「お絵かき!!」

この感じで!?いや〜、追いかけっことか、かくれんぼとかだと…

「隼也お絵かき好きなんすよ」

「そうなんだ、じゃあー…………

「本当にいいんすか、家にお邪魔しちゃって」

「良いよ」

今日お母さんがいなくてよかった

「お姉ちゃん家だ〜」

「隼也、走り回るなよ」

「今紙とか用意するね」

そう言ってクローゼットを開けた、確かこの辺に…

「あった」

お道具箱、懐かしい〜あ、クレヨンもある。

お菓子は何かあるかな………

「おまたせ〜」

「わざわざありがとうございます」

この子本当に当礼儀正しいのね、隼也君とも性格がけっこう違う…

「クッキーもある〜」

「市販のだけど、ジュースはなくて麦茶でいいかな?」

「ありがとうございます」

「お絵かきしよ!」

……隼也君は何を書いたるんだろう

「何書いてるの?」

「えっとね、お姉ちゃんと、お兄ちゃんと、お母さん!」 

「へ〜お父さんは書かないの?」

その言葉に一瞬空気が凍りついた、あれ、これ地雷だったかな

「お父さんはいいの」

「そう」

もしかしたらあのアザもお父さんが関係してるのかも、だけどこの時の私は聞けなかった。何より私を睨む葵結さんの目が怖くて仕方なかった

「上手だね、」

「でしょ?」

隼也君の機嫌は良くなったけど…

「葵結ちゃんは何してるの?」

「宿題、それにちゃんって俺そんな年でもないですよ」

「え、」

年、女の子、男の子…

「女の子じゃないの?」

「え、」

「え、」

「違いますよ、俺男ですよ」

「…!?」

「そんなびっくりされても…てか、お兄ちゃんって紹介されましたよね、制服もズボンだし」

確かに!………

「ク、アハハハ、ハハ」

この時初めて葵結君が笑った。今まで声も小さかったから気づかったけど…その声はちゃんと男の子らしい声だった。

「ごめん…」

「別に良いんですけど…」

気まずい…でも葵結君の雰囲気も明るくなったような…

「そういえば、お姉さんって何してる人なんですか?」

「玲子で良いよ、教師かな…」

今は違うけど……

「マジすか!俺分からない問題があるんですけど」

「………」

「なんすか、その顔」

「いや〜、私中学の教師だし…」

しかもその制服頭の良い〇〇高校のだし…

葵結君はとても引いたような顔をしていた

「先生だからってなんでもできるわけじゃないからね!その顔辞めて……」

「え〜でも………」

そう言って葵結君は国語の教科書を取り出した

「あ、国語か、国語なら…」

「できますか?」

「一様国語担当だしね」

「じゃあここなんですけど……」

て、これ……もしかして…

「葵結君?」

「はい」

「字、綺麗だね」

「ありがとうございます」

「ねぇ、」

「なんですか?」

「あの看板、葵結君が書いたの?」

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