第15話:聖女としての最終承認!イケメンたちの真剣な告白(と、新たな破滅フラグ?)
「レティシア・ローズウッド。貴女を、真の聖女として承認します!」
国王陛下の厳かな声が、大聖堂に響き渡る。私は祭壇の前に跪き、頭を垂れていた。周囲からは、祝福の拍手と、感嘆の声が沸き起こる。聖女としての最終試験を乗り越え、ついにこの日が来たのだ。
「(やったわ! これで完璧な聖女としての地位は揺るがない! 悪役令嬢としての汚名も返上! 破滅フラグ、完全粉砕ですわ!)」
脳内で悪役令嬢マニュアルが勝利のファンファーレを鳴らす。私を断罪するはずだった運命が、今、完全に覆されたのだ。
式典が終わり、私は大勢の人々に囲まれていた。誰もが私に祝福の言葉をかけ、その瞳には尊敬と憧れの色が宿っている。
その中に、見慣れた三人のイケメンたちの姿を見つけた。彼らは、私の輝かしい姿を、まるで目を離せないかのように見つめている。レオナルドは騎士団の面々と、アリスは魔術師団の面々と、セドリックは生徒会の面々と共に、私へと近づいてきた。
彼らの顔は、祝福に満ちているはずなのに、どこか複雑な表情をしていた。
レオナルドが、真っ先に私の元へと歩み寄ってきた。彼の瞳は、私を捕らえて離さない。
「レティシア様。聖女としての承認、誠におめでとうございます。貴女は、間違いなく真の聖女だ」
彼の声は、これまでにないほど真剣で、その瞳の奥には、熱い光が宿っていた。彼は私の手を取り、その大きな手で優しく包み込んだ。
「(ひぃっ! またボディタッチ!? 今度は聖女になった私を、油断させるための罠ね!)」
私の心臓が、ドクンと嫌な音を立てた。この胸の高鳴りは、きっと警戒レベルが最高潮に達したからに違いない。私は反射的に顔が赤くなるのを感じたが、それを彼に見破られてはならない。これは、新たな破滅フラグの予兆だ。
「レティシア様。貴女は、この世界の光です。どうか、その輝きを、永遠に失わないでください。わたくしが、この命に代えても、貴女を守り抜きます」
レオナルドが、私の手を握りしめながら、まっすぐ私を見つめてくる。その瞳には、揺るぎない決意と、そして隠しきれない情熱が宿っていた。
「(な、なんですって!? 命に代えても、ですって!? これは……私を都合よく利用するための、甘い言葉ね!)」
私は内心で警戒警報を鳴らす。彼が私を守りたいのは、私が聖女として価値があるからに違いない。そうやって私を縛り付け、自分の思い通りに操ろうとしているのだ。
次に、アリスが静かに私の元へと歩み寄ってきた。彼の指先が、私の頬にそっと触れる。その指先から、電気が走ったような感覚がした。
「レティシア様。貴女の魔力は、もはや解析不能の領域に達している。貴女は、まさに奇跡だ。……気づけば、貴女の視線を追ってしまう。まったく、魔力以上に……不可解だ」
アリスの声には、知的な探求心だけでなく、どこか戸惑いや、抑えきれない衝動のようなものが混じっていた。彼の指が、私の頬を優しく撫でる。その眼差しは、私の全てを見透かすかのようだ。
「(うっ! これは、私を実験台にしようとしているのね! 私の魔力を解析して、彼らの研究に利用するつもりよ!)」
私の心臓は、さらに高鳴る。この身体の反応は、彼の魔力が強大すぎるからに違いない。決して、彼が触れたからではない。私はアリスの申し出に、笑顔で答えた。
「まぁ! アリス殿に奇跡と称していただけるなんて! 光栄ですわ! わたくしの魔力、存分に解析してくださって構いませんわよ! 聖女としての務めですから!」
私は自信満々にそう告げた。内心では「(よし、私が彼の研究に協力することで、彼の監視の目を掻い潜り、自由に行動できるわ!)」と、不敵な笑みを浮かべていた。
そして、最後にセドリックが、優雅な笑顔のまま、私の前に跪いた。
「レティシア様。貴女は、わたくしの、そしてこの世界の光です。わたくしは、貴女の全てを愛しています。どうか、わたくしの隣で、共にこの世界を照らしていただけませんか?」
彼の言葉は、あまりにもストレートだった。私の心臓が、ドクンと激しく高鳴る。顔が、さらに熱くなるのを感じた。
「(な、なんですって!? 愛してる……ですって!? これ、これって、ゲームにあった『恋愛エンド』の兆候……!?)」
私の脳内で、これまでの悪役令嬢マニュアルが、盛大にエラー音を鳴らし始めた。彼らの言葉が、これまでの「監視」や「罠」とは、全く異なる響きを持っていることに、ようやく微かな違和感を覚える。この胸の高鳴りは、警戒心だけではない。これまで感じたことのない、甘い、そして少しだけ恐ろしい予感。
「いや、待って……これ、ゲームにあったエンディングの兆候……? まさか、破滅フラグを回避したら、今度は恋愛フラグが立ったってこと!?」
私の頭の中は、一瞬にして真っ白になった。私は、目の前のイケメンたちの真剣な眼差しを前に、どうすればいいか分からなくなる。
三人のイケメンたちは、私がそれぞれの言葉をどう受け止めるのか、固唾を飲んで見守っていた。彼らの瞳には、切なる願いと、そして深い愛情が宿っていた。
私の聖女への道は、イケメンたちの真剣な告白と、そこから発生する「新たな破滅フラグ」で満ちていた。それでも私は、ひたすら前だけを見て進む。しかし、その足取りは、これまでとは少しだけ違う。
レオナルド「(……彼女の瞳に、わずかな動揺が見えた。俺の想い、少しは届いたのだろうか……)」
アリス「(彼女の反応は、予測不能だ。だが、その不可解さが、俺の心をさらに惹きつける……)」
セドリック「(レティシア様……貴女のその顔、わたくしの言葉に、わずかでも動いてくれたのですね……!)」
脳内会議の結論:「まさか……これが本当の破滅フラグ……!? この甘くて恐ろしい予感、どうすればいいのよ……!」
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