二十七輪 免罪

「カルロッタが危険だ」


その知らせが基地に届いたのは夜だった。

カルロッタは、ディルタの極秘情報を持ち出したと誤解され、命を狙われているらしい。

さっきの、何かやらかした、というのはこのことだったのかもしれない。

身の潔白を証明する暇もなく、カルロッタは追われる身となり、基地に戻ることさえできなくなっているようだ。


どうするべきだ?

眠っているウィルを放っておいてカルロッタの方を解決させるべきか?それとも……。

すると、脳内のウィルは明るく言った。


「よし。すぐに動くよ!」


脳内のウィルは迷うことなく立ち上がる。


そうだよな、それどころじゃないよな。ウィルだったら、自分のことより相手を優先するよな。

じゃあ、俺もちゃんと動かないとだよな。


俺やマリン、シャーロットもすぐに準備を整え、カルロッタの行方を追い始める。

みんな、カルロッタがそんなことをする奴じゃないと信じているからだ。


「最後に確認された場所は?」


「旧市街の裏通り。でも、もう移動しているはずだ」


「もし、カルロッタが逃げきれなかったら……」


その言葉の続きを紡ぐ者はいなかった。

カルロッタが見つかったら、命はない。


「カルロッタは無実」


それは、俺たちが疑いなく確信していることだった。

しかし、上の御方を説得するには何かしらの証拠が必要だった。


「手がかりはあるの?」


マリンが焦るように問いかける。

俺は通信機を操作しながら答えた。


「ディルタ側の報告を分析してる。カルロッタが情報を持ち出したって記録されてるけど、時間が曖昧だ。これ、本当にカルロッタだったのか怪しい」


俺は少し考えて、意見を述べる。


「違う人物が仕組んだ可能性は?」


「十分あり得る。防犯映像が一部切り取られているからな」


この情報に、全員の空気が引き締まる。

誰かがカルロッタを陥れた。

それが確定すれば、カルロッタの潔白を証明できるはずだ。


「解析できるか?」


「少し時間がいる。でも急ぐ!」


俺が端末を操作し続ける中、ウィルとマリンは別の証拠を探しに動いた。

ディルタの関係者に接触し、カルロッタがその時間どこにいたのか、目撃証言を集める必要があった。


「カルロッタは逃げるしかなかった。だから、こっちでカルロッタを救うしかない」


俺は小さく拳を握りしめる。マリンは俺の決意に頷いた。


「そーね。絶対に証拠を見つける」


そして、俺らの必死の証拠集めが始まった。

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