二十輪 尖った愛情
次はマリンだ。マリンはもうすでに身構えた顔をしてる。
「マリン。あなたは斧の使い方をもう一度習いましょうか。動きはとても良かったです。でも、あなた、一発目と二発目、二発目と三発目、というように攻撃の間が少し長いんです。あと、振りが甘い。もっと力を込めて振ってください。あと投げたらすぐに回収する。その点ウィリアムはいいですよ。ブーメランなんですから。仲間から学ぶこともたくさんあるんですからね。また、食生活、生活習慣、もう一度見返してください。この機会丁度いいから言いますけどね、もっと素晴らしい過ごし方をしないと、どんどん弱くなっていきますよ。本当に何とかしてください。ということで、特訓、あとでしますよ」
マリンはしゅんとした顔で斧を撫でる。マリンは小さくこくりと小さく頷く。
「がんばりましたね」
「もちのろん!」
カルロッタの笑顔を見れるのは一年の中でも限られた場面だけだ。だから見れることが嬉しいんだと思う。ボクもそうだし。
「それで、マリー。あなた、何やっているんですか。女子となるべく会話をしようという姿勢は素晴らしかったです。でも、それで秘密をばらされても困るんですよ。あなたのせいで二人は怪我しました、それは事実です。あなたがばらさなければここまで大事には発展しなかったはずでしょう。何うつむいているんですか?悔しそうな悲しそうな顔して。そんなにウィルが好きですか?自分の手でウィルを傷つけてしまったからそんな顔してるんですか?あー、大好きなんですね。良かったですね」
「いや、そんなこと......!」
「ならマリンですか。安心してください、この調子ならすぐ他の女子とも喋れるようになりますから」
「......ごめんな、二人とも」
ボクとマリンは一瞬顔を見合わせて、にっこりと笑う。
「「大丈夫!」」
カルロッタはそれを見ると、ドアのほうに歩きながらボクらに告げる。
「頑張った三人のためにおやつを用意してありますよ」
「やったー!」
ボクはカルロッタの方に走り出した。
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