第4話 もがき苦しむ優花

冬のはじめ、私は入退院を繰り返す生活になった。 抗がん剤治療の副作用で髪が抜け、体重もどんどん落ちていく。

「本当に大丈夫なの?」と両親はたびたび涙ぐんだが、私は「まだ元気だよ、大丈夫」とうそぶいた。 梨花と桃花が来る日は、病室がいちばん明るくなった。

「優花、負けるな!絶対にだぞ!」 梨花は強く、泣き顔を見せなかった。

「ほら、またお見舞いクイズだよ!」桃花は明るさで私やみんなの気持ちを持ち上げてくれる。そんな2人が千羽鶴をくれた。 私は、二人の存在がどれだけ励みになっているか、言葉にできなかった。 でも、夜になるとどうしようもない孤独が襲ってくる。 深夜に静まり返った病室で、私は涙を流した。 「無理だよ、やっぱり怖いよ」 でも家族や友達には、絶対見せたくない弱さだった。

年が明けると、医師から「これ以上の治療法はありません」と静かに告げられた。 現実と向き合うしかなかった。それでも「自分にできること」がまだ残っているのならと、私は梨花や桃花、お父さんお母さんに少しでも優しい言葉や笑顔を残したいと願い、手紙を書いた。 日々の終わりが確実に近づく中、私はベッドの上でこう思った。

――いつかまた、みんなに会いたい。できればその時も、この笑顔のままで。

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