第3話 余命宣告
秋が深まるころ、病院の匂いが日常になっていった。 何度も繰り返される検査、冷たい点滴の感触。 ベッドの上で考えるのは、今まで向き合ったことのない「もしも」の話ばかりだ。 そんな日、主治医が両親と私を前に告げた。
「治療は最大限進めますが……今の医学では……余命は一年ほど、です」
空気が重く停滞し、母の指が震えたまま私の手を包む。父は何も言えずに、ただ下を向いていた。 私は静かに天井を見上げた。医師の説明も、両親のすすり泣きも、遠くから聞こえるようだった。
「死ぬのが怖い」と心の奥が叫ぶ。 その日の夜、ベッドの上で電話越しに梨花へ打ち明けた。 沈黙のあと、梨花のしっかりした声が届く。
「優花、絶対、大丈夫だよ」
その言葉がどれほど支えになったか、私はあとから気づくことになる。
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