第12話普通の少女桜子、変身する???
「今年の変身、1番最初にするやつは誰だろうな。」
ん?変身?なんのことだ?
先日、試験が終わったばかりで、今日は眠いなぁ。
うとうとしながら、過ごしていると、廊下で変な噂を聞いた。
「ねぇ、ねぇ、三人は最近、話題になっている噂聞いた?」
帰り道、私は気になって三人に聞いてみた。
最近は、私も、ベニとアカネと一緒に走って帰っている。実は、この前、シンクみたいに羽を出したら、羽の操作が上手くいかなくて落ちちゃったんだよね。あれから、上手くいかなくって、、、
「噂?知らん!俺は噂は気にしないタイプだ!」
ちょっと、そこ、話がずれてるよ、、、
ベニは、知らないのかぁ。本人も言ってるし、ほんとに気にならないんだろうな。
「私も知らないの〜。なんか、あるの?私は噂は大好き!」
上空からシンクが声を上げる。
シンクも、知らないの?びっくり。いち早く知ってると思ったのに。
横を見るとアカネが首を傾げながら考えて唸っている。
「うーん。なんか、聞いたことがありますねー。」
すると、手をポンと叩くと思いついたようにあ!と言うアカネ。
「そういえば、最近、魔ねきねこの赤ちゃんが産まれたっていってましたね。それですか?」
うん。いい知らせだけど、ちがう!ていうか、魔ねきねこって、、、呼ぶのは福じゃなくて変なもの呼びそう。
「そうじゃなくて、なんか、今年一番に変身するのは誰かってやつ。」
「あぁ。それですか。」
あっけらかんという感じに納得した、アカネはそれなら、と、言葉を続けた。
「そう言うことなら、帰ってから見せましょう。ベニ!アカネ!今の聞いてましたよね!帰ったらやりますよ!」
「?」
「とにかく、帰ったら説明します。」
私は頭にハテナを浮かべながらスピードをギュンギュン上げる二人について行くのに必死だった。
「ただいまぁ!」
ぜぇぜぇと肩で息をしながらこの暗い森の中のコテージへ帰ってきた。
もう、この暗さにも、なれたもんよ!と、思うが、まだ、三人がいないと迷ってしまって外に出れない。
「疲れたのー!お茶ちょーだい!」
「あ、私も〜ちょうだい。」
そう言うと、ベニがやれやれといった感じでお茶をついでくれる。
「桜子〜、移動だけで、へばってちゃあ、俺に負けちまうぞ!まぁ、俺は負ける気ないけどな!」
自信満々に言うベニだが、これも優しさだと私は知っているので、あまり突っかからない。
「ありがと。」
二重の意味でお礼を言うが、こいつ、わかってないだろうなぁと、思う。
「さて、一息ついたとこで、さっき言ってた変身ってなに?」
早速、本題を切り出した。
「まぁ、見たほうが早いと思うのでそこにいてください。」
すると、三人は、横一列に並んだ。
「「「ストロングイスト!」」」
そう叫ぶと、空中からパレットと、最強と書かれたキーホルダーのついた、キラキラした筆を出した。
うおっ、あの筆とパレット、どこから出てきたんだ?てか、キーホルダー、趣味悪っ。
そうしてるうちに、ベニは豪快に、シンクは歌いながら、アカネは繊細に、服を体に描き始めた。
わーすごい。体がキラキラ、光り始めた!筆で、描いたところから光が集まって服が現れていく。
すごい、けど、なんか、、、長くね?
これ、敵が来たらどうするんだろ、いちいちこれするのかな?敵、いくらでも攻撃できちゃうよ。
あ、変身、終わったかな。
「おーい。終わっ「我ら!赤色魔戦士、ここに見参!」
「あ、終わりました。」
び、、、っくりしたぁ。急に叫ぶんだもん。びっくりした。(2回目)
「と、まぁ、こんな感じだな。」
ベニが、自慢げにふふんと、胸をはる。
「これ、敵来たらどうするの?」
「ストロングイストって言ったら、体が光に包まれて終わりです。」
「さっきのは、演出用なの〜!」
ガクッ
そうなんだ、、、思わず、ガクッとこけてしまった。
「あんな感じに魔法戦士は変身できるんですよ。」
へぇー私もできるのかな。やってみよ。
「私もやっていい?ストロングイスト!」
シーン
「あれ?何にもならない。」
うんともすんともしない。私のままだ。
「あはは、桜子!それじゃ、桜子は魔法戦士になれないぞ!ここに響く、大切な言葉じゃないとな!」
そう言って、ベニは胸を叩いた。
「こころ?」
「そうです。魔法戦士はある特別な出来事がないとなれないんですよ。その時、心で感じた言葉を変身の言葉として使うんです。」
「ある特別な出来事って?」
「それは、人にとってさまざまなの。楽しいことだったり、大変なことだったり、何かを乗り越えた時だったり、いろいろなの。」
「へぇ。三人の変身の言葉は、最強なんだね。なんか、三人らしいや。」
「これは師匠が考えてくれたんだ。」
三人の師匠かぁ。強いんだろうな。どんな人なんだろ。
「変身は誰でもできるわけじゃない。だから、毎年誰が一番に変身するかは、噂になるらしいな。」
「そう言うことだったんだ。そうだね、アキヒメとかすぐに変身しそう。あ、ラピスも、アイビーも!」
「強い人が早く変身するわけじゃないの〜。」
「弱い、この人が?!みたいな人が変身する可能性も十分あるんですよ。」
「おい、さっきのメンバーにシオンが入ってねぇぞ。」
「いやぁ。シオンはないでしょ。」
「いや、意外と、、、いえ、なんでもありません。」
ん?なんか、言った?まぁ、いいか。
「桜子さんも、頑張ってくださいね。毎年、成績上位者は生徒会に入れるらしいですし。」
え?生徒会?嫌なんだけど!でも、大丈夫、大丈夫。私は他の人からは見えない。小学校の時の児童会は、それで回避してきたし。
普通じゃないといやだ!
「そろそろ、ご飯にするか。」
そう言うと、ベニは一瞬で元の姿に戻った。
へぇ。ああやって、元に戻るんだ。面白いな変身って。でも、あの姿で料理してるベニも見たかったっちゃ見たかったけど。
「やった。ご飯だ。」
「お腹ぺこぺこなの〜。」
「ベニ、手伝いますよ。」
シンク、アカネも元の姿に戻る。
「いや、座ってていいから。」
流れるように、卵も割れないアカネの手伝いを断るベニ。
私は、普通、この二人逆じゃね?と、思うのだった。
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