第30話〜関西人、ちょっと振り返る〜
「ん…よっしゃ、ええ感じやな」
俺は朝5時から起きてパスタソースを作ってる最中。11時に寝て5時に起きたら快調すぎてやばいわ。やっぱ2時寝の4時起きなんか体に悪すぎるわ。それに引き換え6時間も寝たら十分や。いつもは12時寝の7時起きやからあんま変わらんか。
俺はパスタを茹でながらボーッと考えとった。何って、そらこのネトハザの世界。しかも俺がこいつだけは生涯憎んで憎しみぬいたると思っとったあの天王寺 大樹としてこの世界におるって言うこと。
「何やかんやあったけど、俺もうこの世界の住人になって早1ヶ月か…いろいろ濃すぎるやろ」
天王寺 大樹として生活してもうすぐ1ヶ月半。もう1ヶ月半も経っとるんが信じられへん。俺は長い長い夢みてんのとちゃうかって思うわ。実はまだ夢で、次目が覚めたらいつもの何もあらへんワンルームで。アホ上司からの謎のいつまで寝とんねんの電話とか、作業工程にエラー出たとか言う背筋の凍る同僚とか後輩の電話に怯えなあかん生活に戻るんちゃうかってな。
最初の3日なんかほんまに寝るんが逆に憂鬱やったなぁ。頼むからあのワンルームに戻さんといてくれ。もしくは病院のベッドとかで目ぇ覚まさんといてくれ…って祈りながら寝たわ。今も祈っとるけど。ほんま神様ここまできて上げといて落とすみたいな真似したら俺は腹切るからな。
「やっぱり…この世界に来て一番幸せなんは…3人のヒロインと関わりを持って…話をして…しかも家にご招待とかめちゃくちゃ緊張するわ…おっ、パスタの茹で具合は…うん、ええね。ほなこれはボンゴレやな。ニンニクは女の子気にするやろし…少なめやな」
カルボナーラ、明太子のバター醤油。ボンゴレビアンコ。んで、とっておきのワタリガニのトマトソース。女性にも人気の最強の布陣。ワタリガニは結構ええ値段したけどこれはほんまにええ。今日のためだけにトマトソースはもう月曜からめっちゃ研究したからのう。
なんて言うたかて推しのヒロインやで。しかも超絶美人の3人。彼女らをおもてなしするんに妥協なんかできるかい。まあ、おかげで3食パスタになってもうたけど。んでもって秋谷さんに笑顔でめっちゃ注意された。
「天王寺君、3食パスタなんて体に悪いからダメだよ?お弁当、作って来ようか?」
「ほ、ほな俺も作ります…」
「ダメ」
「はい…」
秋谷さん、目、笑ってなかった…背筋が前世で仕事中にPCのコンセントを掃除のおばはんがぶっこ抜いたときくらい寒なった。あのおばはんのせいでデスマ10日。あれは確実にこの世界へ誘うきっかけを作ったんちゃうかな…もう思い出しとうもないわ。それくらい秋谷さん怒ったらヤバい。もう怒らせんようにしよ…。
ヒロインとの関わり、なんか主人公の今宮君より関わってんのちゃう。それにしても、この世界のヒロインは大きな変化があった。それが俺には疑問やった。
俺が派手なカッコはやめなさいって言うたからってことになってるけど、終始金髪やったはずやのに黒髪に染めた詩奈さん。衝撃的やったね。インパクトもでかいけど…俺は黒髪のほうが似合ってると思う…めっちゃくちゃかわいい。あと、バスケの時に見てしもうた下着。ピンクのかわいいの…ゲームやとずっと豹柄やのにな。わからへん…い、いや思い出したらあかんて!あとボディタッチがめっちゃ多い。ちなみに今宮君へは俺、きっしょって言葉2回くらい聞いたんやけど…大丈夫か…?
次に秋谷さん。ネトハザで1、2を争うほど気になってた秋谷弁当。これを食べれたんはほんまに幸せやわ。しかも泣くほどうまかった。誇張表現やなしにガチでうまかった。今度は俺が作る弁当と交換することになってる。お互いにリクエストし合って、最高のおかずを作ること。勝負やないから気楽やけど、たぶんまた妥協でけへんな。あとほにゃって笑うんめっちゃかわいい。さっきも言うたけど、怒らせたら絶対あかん。ちなみに今宮君、まさかの弁当拒否事件。そのおかげで秋谷弁当が食べれたけど…ゲームでは体調不良イベント以外では絶対うまいって食べてたのに…どうなっとんの?
冬木さん。これまた俺がいろいろ冬木さんを変えてしもうたなぁ…メガネかけとったんは初耳やし、俺の好きな髪型、ウルフカットにしてきてくれたんはもう最高やった。知的なイメージを残しつつ、クールさをさらに引き出したあの髪型…俺、詩奈さんと言いなんかヒロインをプロデュースしとらへんか…?あと詩奈さん情報では髪の毛を触ってるんは怒ってるんやなくて嬉しいとか照れ隠ししとるらしい。かわいすぎやろ。めっちゃ睨んでくるけど、髪の毛触ってたら怒ってへんねんて。かわいい。ちなみに今宮君への当たりが冷たすぎるんがどうなってんのかわからへん。
そんで…問題の主人公、今宮君。なんや…やらかしまくってない…?詩奈さんにはきっしょって言われる。秋谷さんの弁当は拒否。冬木さんからはスーパードライ…これ、もう詰んでない?いや、主人公補正があるやろうからここから逆転できるはずや。せやけど、少し気になるんは口調から行動が原作とえらい離れてることやねんな。選択肢にもよるんやけど、ここまでヒロインの好感度を下げるってことはなかった。
「まさかとは思うけど、主人公補正切れとるとかちゃうやんな?いや…ここはネトハザの世界。世界は今宮 俊哉を中心に回らなおかしい。まだ10月。取り返しはきく。ゲーム自体は10月からクリスマスくらいまでがゲームの舞台やから…」
なんか、最後の方声が震えてもうたわ。根拠はないけど…俺はまだ今宮君がここからフラグ建てていくん、無理ちゃう…って思ってる。なんでって、もう詩奈さんなんか露骨やし、冬木さんもめっちゃ冷たいし。秋谷さんは…どうなんやろうな?秋谷さんが最後の良心なんやで…!せめて!せめて小さい頃からの幼馴染やねんから秋谷さんとだけでもええ!結ばれてほしい!
「よっしゃ、んー…ワタリガニのええ匂い…これ絶対うまいやろ。昨日お試しで1匹使ってみたけどめっちゃうまかったもんな」
ぶっつけ本番ではさすがに…と思ったから2匹買って1匹は昨日1人で食べた。ほんまにうまかった。これなら喜んでもらえるやろ。
「よっしゃ、とりあえずボンゴレ作ったらちょうどええ時間かな」
4つめを何にしようか考えたんやけど、当たり障りのないボンゴレビアンコにした。アサリが冷凍の剥き身しかなかったんが気に入らんけどしゃあない。時季ちゃうからね。まあそれでもちょっと試しに食べてみたらアサリのええ味出とったわ。うまい。
「ニンニクは女の子やし気になるやろうからだいぶ減らしたけど、これならいけるはずや。鷹の爪も少なめで…ちょいピリッとしたらええやろ」
ワタリガニのトマトソースもボンゴレもニンニク少なめ。やっぱり明日休みやって言うても匂いは気にするやろうしなぁ。ニンニクのパンチがなくてもおいしいように月曜から研究はしたから大丈夫やろ。
「うーん…カルボナーラもええ感じでできたし、明太子もええで。洋食屋開いたら結構儲かるんちゃうか。知らんけど」
俺は大皿4枚にパスタを盛って。カルボナーラにはブラックペッパー、辛くなりすぎん程度にかけて。ちょっと4つとも試食…うん、バッチリやな!
「ええっと…トングはネットで取り寄せたやつ、と。お、あかん!もう10時やん!そろそろ行かな!」
俺は大急ぎでフライパンなんかを片付けてっと。女の子来るんやし、ジャージはあかんな。とりあえずそれなりのオシャレをして出かけよか。さあ、家にヒロインが来るど。ちょっとワクワクしながら俺は家を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます