第29話〜秋谷 澪は問い詰められる〜
/秋谷 澪視点
天王寺君ったらわたし達をおもてなしするためにパスタの研究をしているらしくって3食パスタを食べてるって言うからちょっと怒っちゃった…いくらなんでもやりすぎだとは思うから注意はしたけど…凛ちゃんもちょっと怒ってたなぁ。
「ふふ…」
でもちょっと嬉しくて笑っちゃう。だって、それだけわたし達のことを思ってくれているわけだもんね。土曜日、楽しみだねって言ったらしーちゃんは全力で頷いてたし、凛ちゃんは素っ気なかったけど、髪を触ってたからものすごく楽しみにしてるんだろうなぁ。
凛ちゃんは中学の時に知り合って、いつも冷たい…氷の女なんて言われてるけどそうじゃないんだよね。恥ずかしがり屋さんなだけなんだよ。最近は天王寺君のおかげかな?凛ちゃん、髪の毛を触って嬉しそうにしてたり恥ずかしがってたり。感情を表に出しやすくなった気がするな〜。ふふ、凛ちゃんの感情を読めるのはわたしだけかもって。そう思うとますます凛ちゃんが好きになっちゃうね。
しーちゃんもすごく天王寺君に素直だし。ただ、ボディタッチどころか思い切り抱きついちゃってるから天王寺君が困っちゃわないかなぁ?しーちゃんも女の子なんだから異性に抱きつくのは……こ、こここ、恋人になってからのほうがいいんじゃないのかなぁ!?しーちゃん、天王寺君が好きって言ってるし、この先どうなるんだろうなぁ。
「わたしは…」
どうなんだろう。しーちゃんは天王寺君にダイレクトに好意を示してるし、凛ちゃんは気がつくと天王寺君を目で追いかけてたりするしきっと好き…なのかな?わたしは、まだわからない。でも、あの保健室で抱き止められた時…わたしはすごくドキドキした。顔が熱くなった。バスケをしている時の天王寺君、かっこよかったな…。勉強もできるってすごいよね。きっと凛ちゃんにも負けないような成績を出しそうだよね。
「天王寺君…そっか、土曜日は天王寺君のお家かぁ。ご両親がいないって言ってるし…しーちゃんと凜ちゃんもいるけど…き、緊張するなぁ…」
男の子の家なんて俊哉君のお家しか上がったことないからなぁ。しかもお昼まで振舞ってくれるとかすごくない!?本当、どうして天王寺君ってあんなに悪い噂ばっかりなんだろう?今はすっかり噂を聞かなくなった気がするけど。あと、俊哉君がなんであんなに天王寺君を敵視しているのかわからないな。悪く言いすぎだと思うな。
「天王寺君…」
何度目かわからない、天王寺君の名前を自分の部屋で呼ぶ。あのお弁当を食べてくれた時から、なんとなく天王寺君を意識している気がする。それが保健室での出来事で一気に大きくなったって言うか…。うん、凜ちゃんと一緒で天王寺君をかなり意識してるんだと思う。しーちゃんみたいにわたしも素直になれたら…もっと天王寺君との距離が近くなるのかな?
う、うう…ダメダメ!こんなこと考えてたら勉強が進まないよぉ!ちゃ、ちゃんとやらなきゃ!それでもわたしはこの日、お家では一つも勉強ができなかった…と思う。
………
「それじゃあ、今日はもう最終下校の時間ね。お疲れ様」
「おつかれさーん」
木曜日。今日も勉強会はおしまい。天王寺君はまだパスタの研究をしたいからって帰っちゃった。さすがにお昼はパスタってことはなくなって安心したよ。それでも…。
「せっかくのおもてなしやからな。おいしいの作らな失礼やから」
そう言ってくれたのは嬉しい。しーちゃんも凜ちゃんも喜んでたね。うーん、でも俊哉君以外の男の子…それもちょっと気になる男の子のお家に行くって緊張するなぁ。心の準備まだできてないんだけど!?
「おーい、澪」
心の準備を今からしようと思っていたら声をかけられた。俊哉君だ。
「俊哉君。どうしたの?」
「せっかくだしさ。一緒に帰ろうぜ」
「う、うん」
俊哉君。あのお弁当の一件以来、ちょっと話しにくいと言うか…。でもここで断っても仕方ないって思うし、方向…一緒だし。
俊哉君はテストだりーよなぁとかあー、かったるいとかテストの文句ばかり言っている。学生はこれがお仕事と言うか…やらなきゃいけないことだから文句言ってもしょうがないと思うんだけど。
「なー澪。土日さ、よかったら一緒に勉強しね?凛子とか詩奈も誘ってさ」
え、ええ!?今までそんなことを言ってこなかったので驚いた。中学までは確かに一緒に勉強したけど、俊哉君、高校に上がってからは全然言ってこないし、むしろゲームしたいからパスとかこっちからお誘いしてもお断りだったのに…どうして?で、でも土曜日だけは絶対にダメ!
「ご、ごめんね。土曜日はちょっとお友達と勉強会があるんだ」
「は?友達って誰?」
「え、ええっと…」
「何だよ?ああ、凛子と詩奈か?だったら別にいいだろ?俺ん家で勉強すりゃいいじゃん」
「違うの、お友達のお家で勉強会するから…」
ど、どうしよう。天王寺君の名前を出したらケンカになりそうだし…お友達って言ってごまかすしかない、よね…。
「だから、その友達って誰なんだよ?まさか、男か?」
「え、えっと…うん…その」
「男なのか!?おい、誰なんだよ?!まさか、天王寺とか言わねーだろうな!?最近なんかお近づきみたいだけどさ!」
ま、まずいよ…天王寺君ってバレちゃった!?こ、これ、大変…どうしよう…どうしよう!?
「ねえ、一つ質問してもいいかしら今宮君。私たちが誰と勉強会を開こうと勝手じゃない?どうして澪にあなたがそこまで詰め寄る必要があるの?」
「凜ちゃん…」
「やっぱり天王寺なのか?!ダメだダメだ!やめろよ!!しかも天王寺の家に行くのかよ!?」
「はぁ…どうして天王寺君と私たちが勉強するのにあなたの許可が必要なの?どこで誰と私たちが出かけたりしようと勝手でしょう?」
凜ちゃん!凜ちゃんが逆に質問を返してくれた。悪いことをしちゃったな…本来ならわたしが言わなきゃいけないことなのに…。凜ちゃんはわたしを見て頷いてくれてた。私が代わりに言うからいいわよ、と言っているようだった。罪悪感が募る…。でも、わたしだときっとここまで言い返せない…。
「それはそうだけど…あの天王寺だぞ!?家になんか行ってレイプでもされたらどうすんだよ!」
「あなた、天王寺君をどういう目で見ているの?それは天王寺君の名誉を著しく傷つける発言よ?」
「あいつは札付きのワルなんだよ!!不良だったんだぞ!!今はなりを潜めてるだけで!お前らみたいな女子に牙を剥くに決まってる!!俺は忠告してやってるんだよ!!」
「ご忠告痛み入るわ。けど、天王寺君のことは私たちが判断するわ。詩奈も天王寺君に懐いているし、私も天王寺君が悪い人だとは思わない」
「なんでだよ…!俺の言うことを聞いておけよ!!!」
「あなたは私たちの何?彼氏でもないし保護者でもない。幼馴染の男の子ってそういう権限でもあるの?」
「………ああいえばこういいやがって!!もういい!行って勝手に犯されたらいい!!」
「……あなた、最低ね」
凜ちゃんの声が鋭くなった…凜ちゃん、すごく怒ってる…!でも、わたしもその言葉はないんじゃないかと思った。何ていうか…胸がムカムカする。ああ、わたしも怒ってるんだ…。
「勝手にしろ!!俺は知らねーからな!」
「ええ。ご自由にさせてもらうわ」
俊哉君は速足で歩いて帰ってしまった。ふう…とわたしはため息をついた。
「凜ちゃん、ごめんね…」
「別に構わないわ。こういうのは私の役目だと思っているもの。今宮君に嫌われたところで気にしないわ」
「え、ええと…」
「さ、帰りましょ。とても不愉快な帰宅になるけれど」
「そ、そうだね…」
天王寺君が俊哉君が言ったようなことをするはずがない…!わたしはググ…拳をにぎりしめ、泣きたい気持ちでお家に帰って…ちょっとだけ部屋で涙を流した。
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