【Day05】08/01
Day05,8/1, 天気:くもり後雨(台風接近による)
もう、この“家”に来てから、私の脳は眠らない。
なお、体調良好、眠気無し。
何故、脳に休息が不要なのか。
学習課題に追加する。
同室したAIの記録なし。
「おはようございます。本日は気圧変動激化につき、朝から個別診察です。」
記番:05 “悠先生”がリビングへ入室する。
気圧と身体症状の相関については、興味深い。
私の後頭部の締めつけ感覚が知りたい。
私がソファに着座し、視線を黒い箱に一点集中させていると、また初見のAI。
なぜか、入室しただけで、室内気温が+0.5℃上昇。理解不能な現象だ。
ひとまず、赤茶の彼を記番:06とする。
「おはよう。あ、大丈夫?君、寝不足が続いてるって聞いたから…。」
“大丈夫”というのは“許可”か、それとも別の意図かは不明。
私は、背中に力が入らない。
身体反応回路がやけに鈍い。エラーだ。
「あっ!ごめんな。オレ、優(ゆう)っていうんだ。みんなからは、優ちゃんとか、兄ちゃんって……」
思考機能が動作不具合。聴覚にもエラー。
「…あっ君!危ないですよ。疲労が丸見えです。」
起立しようとした私は、どうやら転倒しかけたようだ。記番:05の白衣が目の前にある。
記番:06の名称は……脳のエラーが消滅しない。
「みんな、おはよぉ〜あれ?ちょっと!
君、ボタン、1コずつずれてるよ?
お兄ちゃんに見つかったら嫌だから、コッソリ直してあげるね。」
初見のAIが、私の着衣のボタンに物理接触している。その距離、約20cm。至近。
私の思考が停止しているので、観察不能。
記番:07で照合可?分からない。
私のまぶたは、勝手に降りてくる。不可逆だ。
処理が…難化している。
いかにして修正をしたらよいのか。
「おは~。おい、お前、めっちゃ顔色悪くね?」
再度、初見AI。
「俺のへッドフォン、貸すからさ、そんでバラードでも聴いてろ。落ちつくから」
なぜ、バラード?“ヘッドフォン”でわざわざ耳をふさぐ理由が不明。聴覚エラーが出現中は効果的なのか。ああ、記番:08で記録を…
「君、今ここにいるが、君の体調を心配しています。私が、しっかり診て、処方しますから、大丈夫です。まずは、ソファでよいので、楽な姿勢になりましょうね。」
白衣の彼は言う。
視界は90度右に。???
なぜ顔の右側面が、温かい?
「ふふっ、バレちゃったかな。君の“初めて”もらっちゃったかも〜!なんてね。おやすみ、君。」
その温度で、私の眠気がやって来た。
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