第6話 シエルは俺が育てる!!

受付嬢さんの発言に俺は驚いてしまった。


「テイムのスキルって今まで出てこなかったんですか?」

「実際、モンスターが自分の目の前に現れたらどうします?」

「倒すか逃げるか・・・あっ」

「そういうことです」


確かに自分の目の前にモンスターが現れたら共存しようと考える人はおかしい人になるからな。

俺の場合、シエルが完全にぬいぐるみに近い姿だから怖くなかっただけだ。


「・・・もしかして、テイムしていますか?」

「・・・一応、車に待機しています」

「連れてきてもらってもよろしいでしょうか?」

「分かりました」


ということで、いったん車に戻ったらシエルが飛びついてきた。


「シエル。これからたくさんの人の前に移動するからな。大人しくしていろよ」

ヒン


と了解の鳴き声を聞いた俺はすぐにギルドの高橋さん(先ほどの受付嬢さん)が待っている部屋に戻った。

ギルド内は探索者でいっぱいだし、シエルがバレるわけにはいかない。幸い、ぬいぐるみみたいな見た目だからバレずに済んだが・・・笑われていたなありゃあ。


「この子になります」

「・・・このぬいぐるみみたいな子ですか?」

「シエル」

ヒン?

「鳴いた!?・・・ということは本当にテイムしたんですね」

「・・・そうなっちゃいますね」


ここで、俺はシエルが見つかったところと当時の状況を高橋さんに説明した。


「捨て犬のようにダンボールの中にいたのですか?」

「えぇ。鳴き声がするなと思って公園によったらダンボールがあって」

「そこでシエルちゃんに会ったと」

「はい」

「波多野さん。まず、モンスターがダンジョン外に出てくることはスタンピードでもない限りありえないことです。すぐにギルドに報告してください」

「それは・・・そうですね。申し訳ありません」

「・・・この子は本当にモンスターなんですか?」

「シエルの後ろを見せますね」

「後ろ・・・ってこれは」


俺は抱っこしているシエルの背中を見せた。


「もしかして・・・ペガサスですか?」

「多分そうかと思います・・・ただ、今までペガサスはモンスターとして現れたことは一度もないため、初めて発見されたモンスターになりますね」

「それって・・・もしかして俺はとんでもないこと発見をしたってことですか!?」

「そうなりますね」


これが世間にバレたらとんでもないことになるのは間違いない。のんびりゆっくり暮らしたかったのにどうしてこうなったんだ?

頭を抱えた俺に高橋さんはこう伺った。


「どうしますか?」

「どうって言いますと?」

「このままシエルちゃんを育てますか。それとも手放しますか?」

「手放すとどうなりますか?」

「ギルドの研究機関に預けられて解剖などが行われる可能性が」

「育てます!!」

「・・・本当に大丈夫ですか?」

「シエルって名前を付けた瞬間スキルを俺は得ました。だから、この子は俺の家族です。手放すなんて絶対にしません」

「分かりました」


ということで俺はシエルを育てることを決めた。一緒に頑張る家族として。


「これからもよろしくなシエル」

ヒヒン♪


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