第2話 到着してすぐの行動

 夜は地上に降りて休みつつ空の旅を続けた結果、1週間ほどで「国」の中心に辿り着く事が出来た。……まぁ「国」と言っても、その種族はドラゴン。建物を作ったり道具を使ったりする訳ではなく、硬い岩山を掘り抜いて洞窟を作り、その中で暮らすという感じだ。

 何でそれが分かったかというと、まぁ当然、上から見たからだな。空から来たんだから、それはそう。ついでに言えば「国」になっているのは岩山の山脈で、その中心に3つの岩山が寄り集まったような形になっている場所がある。3本の塔みたいになってる場所が「国」の中心になってるらしい。

 まぁ高い所から見ていると、平らなところが無いな? って感じだったんだが。高度を落としていくにつれて、だんだん割と平らな場所もあるらしいっていうのが分かった。ついでに言えば、氷や雪が溜まってるけどそれを防げそうな場所もある。洞窟以外で。


『相変わらず、岩以外に何も無い場所だな』

『周りから攻め込まれんし、雑魚はそもそも近寄れん! それにここは「泡沫の洞」がよく出るからな! 食う物には困らないぞ!』


 なおこれは女帝様と番の竜王の感想というか、たぶんこれは外から見た印象と中から見た印象でいいと思う。悪いが女帝様に賛成だな。とりあえず上から見た限りはそんな感じだ。

 それに洞窟と言っても、そこまで深く掘り進めている訳ではないらしい。つまり何かの鉱脈があったとしても、辿り着いていないから眠り続けているって可能性は高いな。流石に何の当てもなく岩山をツルハシで掘り進めるのは無謀だ。

 まぁでも、石材には困らないだろうな。だったらここで、大型建造物は全部作っておいてしまってもいいかもしれない。それこそ「城」とか「城」とか、「採取」が無ければこの岩山が平地になってしまうぐらいの量が必要だし。


『まあ良い。小さいの、飯は頼んだぞ』

「頼まれました。お任せください」

「ワンッ!」

『ぐ……っ! 何故、俺様よりもこんな雑魚の方が信用されている……っ!』


 何故と言われても、胃袋を掴んだからとしか。もしかして一生ご飯係なのでは? という可能性からは目を逸らす。今現在ものすごく助かっているからいいんだ。

 しかしまぁ、女帝様からしっかりと特大の釘を刺されている番の竜王は、仕事はちゃんとしてくれた。具体的には、その前足でぶら下げている人間入り自分が入ったカーゴを、丁寧に下ろしてくれた。いやぁ、適当なところで放り出されて死ぬかと思った最初の晩はどうなる事かと思ったな。

 その時は先に着地していた女帝様がジャンプして番の竜王を叩き落し、カーゴの持ち手部分を咥えてキャッチ。ゆっくり下ろしてくれたから、カーゴの中で叩きつけられて血だまりになる、って事は避けられた。一応装備補正で天井に張り付いて、窓から分かるタイミングを見て床に降りるつもりではいたけど。


「――――ガァアアアッ!!」


 そして着地したところで、番の竜王が咆哮を上げた。テレパシー的なものではないから内容は分からないが、たぶん、帰って来たぞー、的な事を言ったんじゃないだろうか。カーゴをスマホで格納し、「底なしの鏡」に移動させている間に、わらわらあちこちの洞穴から黒いドラゴンが出てきたし。

 その視線がまず番の竜王に向いて、女帝様に向いて、おチビに向くかこちらに向くか、というのは見えていたが、人間こちらを見た瞬間に眉をひそめたり首を傾げたりするの、ドラゴンの顔でも分かるもんなんだな。

 まぁ扱いがあれなのは番の竜王を見ていれば分かる事だったし、それはもう気にしない。言葉で言ったところで効かないだろうし、これぐらい潔い方が遠慮なく狩れるってもんだ。まぁ今の所狩る予定は無いけど。何故なら「ダンジョン泡沫の洞」の奥地で遭遇できるのは分かってるからな。


『……小さいの』

「何でしょう」

『少し隠れていろ。どうも我が番の群れは、我が番同様に躾が足らぬようだ』

「分かりました。岩山の外側を探索しています」


 もちろん何を言っているかは分からないんだが、気持ちスンっとなった感じの女帝様からそんなテレパシーっぽいものが届いた辺り、どうやらこの「国」のドラゴン達、女帝様相手にも似たような反応をしたらしいな。

 命知らずな……いやこの場合は怖いもの知らずか。文字通りの意味で。まぁそりゃドラゴンだからな。それはそうだろう。怖いものなんてまぁ知らないというか、無いだろうからな。それはそう。

 という訳で、しっかり防寒性能の高いもこもこの服の上に、隠密性能と器用・速度に補正を振った革鎧一式を着けて、その上から隠密性能全振りのマントを羽織った、という格好で、岩山同士がくっついて出来たような形の隙間から、その外へ出る。


「ワンッ!」

「お前、ついて来たのか……いやまぁあそこにいても、出来る事なんて無いだろうが……」


 そうすると当然、滅茶苦茶寒いし後ろではものすごい戦闘の音が聞こえてきたが、そっちはスルー。さてとりあえずぐるっと一周回ってみるか、と思ったところで、おチビが付いてきている事に気が付いた。

 相変わらず、尻尾ぶんぶんの舌出し見上げ姿勢だから、大きさもあって大型犬なんだよなぁ……お前ほんと、父親じゃなくて母親見習えよ?

 ……見習ってこれって事は無いと思う。若干、ご飯に関しては否定できなかったりするが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る