第6話 別れ
家族最後の日、マンションを出て行く日だった。引っ越し業者が来て、3人の荷物を段ボールにまとめて運び出していく。終わると、3人と俺がリビングに残った。
「どこに住むんだ。」
「どこでもいいでしょ。落ち着いたら連絡する。」
どうせ、須藤のアパートに転がり込むつもりだろ。
「じゃあ、あなたも幸せになってね。」
謝罪も感謝の言葉なく香織は去っていった。汐里と誠も言葉なく、その後に続いた。
ベランダに出て駐車場を見る。須藤が車で迎えに来ていた。子どもの前にも関わらず、香織と須藤が抱き合う。胸が怒りでムカムカする。
車が見えなくなると、俺は、ソファに顔をうずめて、香織の不倫が始まってから初めて、大声を出して泣いた。
誰もいないリビング、かつて家族の愛が満ちていたリビングで、大の大人が声が枯れるまで泣いた。
俺が何をした。俺の何が悪かったんだ。
4人で暮らすために貯めたマイホーム資金と預貯金800万を財産分与し、慰謝料200万は、香織の分200万と相殺された。それと養育費3年分300万を、とりあえず一括で要求され、その後は、18歳まで、毎月支払うことになった。
不倫され、預貯金500万を失い、親権を失った。
妻を奪われ、家族を奪われ、幸せと未来を奪われた
俺は、絶望した。
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