第7話 予告

 1か月後、香織に電話をした。

 その間俺は、酒におぼれていた。

「汐里と誠には、いつ会わせてくれる。養育費を払ったんだ、父親として2人の成長

 を見届けたい。」

「分かるでしょ~。いま須藤さんと暮らしてるの。彼が新しい父親になるの。もうす

 ぐ結婚するし、これから家族としてやっていく大事な時期なの。家族じゃない人と

 会わせて気持ちが揺れたら困るでしょ。」

「家族じゃない人じゃないだろ。」

「あはは、ごめ~ん。元家族の人ね。」

「父親には変わらないだろう。」

俺が怒りを込めて抗議すると。

「だから、そういうことを言う人に、今、会わせたくないの私たち家族は。じゃあ、また連絡するから。」

一方的に電話を切られた。


 俺はもう家族でも、父親でもない。俺の中で、何かが壊れた。

 俺は、人生をリセットする。そのために、やるべきことをやる。

 

 まず、俺は、今回の香織の不貞行為、偽の俺の浮気をでっちあげ、子どもたちの気持ちを俺から離れさせて親権を奪ったこと。それに伴い、高額な養育費を奪われたこと、一方的な不貞行為にも関わらず、弁護士を使って慰謝料の減額を図って微々たる慰謝料しか受け取れないこと、財産分与は等分という法の非情さを文章にしたためた。

 家族を奪われた口惜しさ、悲しさ、やりきれなさ。なぜ不倫をされた側がすべてを失い苦しんでいるのに、した方はのうのうと幸せになろうとしているのか。

 できるだけ同情をひくように書いた。


 そして、最後に法によって裁かれない奴らを俺自身の手で復讐することを記した。苦しんだあげくの復讐で、喜んで刑に服すことも。


 決行の日、俺は地元の新聞社、テレビ局、大手の新聞、テレビ局に送った。同時に、SNSに投稿、YAUTUBEにすべて実名で語る動画を撮って、事後にアップされるように設定した。


 全て準備は完了した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る