第2話 不登校

 彼女の由香から別れを告げられた次の日から俺は不登校になった。


 両親は仕事で常に家を空けているため特に無理やり学校に行かされることもない。楽に不登校になれた。


 俺は気力のない身体でベッドに身を預けながら何時間も過ごす。


 じっとしているとマイナスな方向ばかり物事を考えてしまう。


 自然と由香に別れを切り出された不幸や由香が西田によって寝取られる姿を想像してしまう。


 その想像では由香は経験豊富な西田によってメスの顔をしており、数え切れないぐらいイカされていた。


「うぅ…」


 俺は頭の中を支配する想像を排除するように布団に潜り込む。


 暗い狭い空間でマイナスな想像と闘い続ける。


 しかし、勝つことはできず、何時間もの間、マイナスな感情に心も身体も支配され続けた。


 不登校から1週間が経過する。


 相変わらず1週間前と同じ生活をしていた。


 1日に大体1回は空腹になるので夜中に纏めて食事を取る。


 3食分を補給する形で自宅に常備してあるインスタント食品を完食する。


 本日も満腹になった状態で眠りにつこうと2階に移動し、自身のベッドにダイブしようするタイミングで足が止まる。


 このままだと俺、不登校で人生を終えるんじゃね?


 俺の頭に最悪な未来が浮かぶ。


 不登校が続き、高校も卒業せず、就職活動を始めても学歴の壁で満足のいく企業に就職できず、低賃金で働き、質素な暮らしをする。


 そんな未来が脳内で想像できた。


 流石にまずいと思った。そのような未来を歩みたくないとも強く思った。


「こうしてはいられない」


 俺はベッドに向かうのを中断し、部屋の勉強机の引き出しから樽式の貯金箱を取り出す。


 丁度トンカチも勉強机の引き出しに入っていた。


 ガシャンッ!?


 俺は勢い良くトンカチを貯金箱にぶつける。


 樽式の貯金箱は勉強机に破片をばら撒き、中身を露わにする。


 中には数10枚もの札束が入っていた。


 しかも大部分が1万円札であった。


「これらを使って…」


 俺は破片を手で避けながら、雑に札束を握り締める。


 全ての札束を手に収め、自分の部屋を後にして階段を降り、1階に到着する。


 慌てた手つきで家族共用デスクトップのパソコンを起動する。


 真っ暗で電気も点いていないリビングでパソコンの起動を待つ。


 しばらくしてホーム画面が俺の目の前に登場する。


 有線につながっているため、Wi-Fiの調子はいい。


 ブラウザーを開き、インターネットにアクセスし、検索エンジンのソフトを使う。


 俺は、まず株式投資と検索した。

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