世界を滅ぼした魔王の異世界侵略

はらぺこ・けいそ

第一章 神々への復讐

プロローグ

 魔王には人間の友人がいた。その友人は勇者と呼ばれ人類の脅威を薙ぎ払う強力な兵器として人類の矛となり時には盾となってその身に生傷を増やしながらも強者として弱者である人類のためにその身を挺して人類の守護者として最前線を走っていた。


 そう、この世界の魔王は力こそ脅威といえるものだが人類に対して悪ではなかった。だからこそ分かり合うことができた。勇者と魔王という歪な関係でも互いに強すぎるという共通点と勇者の社交性によって友となることができた。


 しかし、勇者に一つの神勅しんちょくが下された。勇者は人類の守護者で神によって与えられる神職だ。神の命令には逆らえない。


 神勅は魔王討伐だった。


 勇者は友人を討伐しなければならなくなった。しかし、勇者にはそれができなかった。勇者は、魔王と友人なのだから。自分よりも大切に思っていた魔王を自分の手で処すことはできなかった。



 だが、勇者にとって神の命令は絶対だ。命令違反の代償が勿論ある。それは、己の命を差し出すという事だった。代償が意味することは勇者の死だったのだ。




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「ギル様、準備が整いました。我ら幹部含め魔王軍全軍が進軍可能です」


 魔王ギルの前に跪く一人の法衣を羽織るスケルトンが魔王に向けて声をかけた。


「ご苦労様、それじゃあ行こうか。神々が逃げた世界へ」


 魔王の姿は、少年のような見た目をしておりひと眼の色は赤黒く髪は黒髪の一見すればどこにでもいそうな見た目の彼は友人であった勇者の復讐へ向かうべく別の世界に行く準備を成した。


 この世界の人類は既に滅ぼした、だから次の世界に、神々が逃げた世界へと向かうことにした。人類を滅ぼした理由は単純だ、勇者の力を便利な道具としてとしか見れない下種な人間たちで、その信仰は神々の力に源となるからだ。



 準備をを終えた魔王軍は大きな魔方陣を作りだし、地上から地下に大きく広がる魔王城全域を囲い異世界転移を始めた。





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