第13話 富士に三日月

 宿題はほとんど終った。


 僕は疲れ休みに、おじさんに貰った脇差しを眺めてる。


「ホームス刀眺めて! 興味無い振りして、刀の魅力に気付いた?」


「確かに刀を眺めて居ると、何か変な気持ちに成るな?」

「何かを斬りたくなった?」


「いやいや、そんな殺人鬼みたいな、危ない思いじゃ無くて……この波紋、乱れ波って言うらしくて、何と言うか……あれ? この部分富士山に三日月?」

「どれどれ? うん富士に三日月に見えるね! お父さんが言ってた。長船備前刀博物館が有って、富士に満月や富士に三日月の波紋の刀も展示されてるって、持って行けば喜ばれるかも」


 ※作者は実際長船刀剣美術館で、富士に月、富士に三日月の波紋を見学しました。

 狙って作れる波紋で無く、全て偶然の産物だそうです。

 お土産にミニ備前刀(全長4寸でも抜刀出来る)の耳掻き買いました。


「そうじゃ無くて、江戸賀じいさんの暗号書! 『富士に三日月の柄頭を調べるべし』ってのが有っただろ? これの事じゃ無いか?」

「ホームスがそう思うなら、そうでしょう」


 ワト? 考えるの放棄した? 確かにお宝はウンザリするほど見付けたけど、謎解きは別だと思うぞ!


 おじさんは10日のお休み取ったのに、思った様な休みに成らずふて寝してるとワトに教えて貰った。


 二階の渡り廊下をワトと行く。


「おじさん! 江戸賀じいさんの謎解き出来たよ!」

「小判に金塊はウンザリだが、全ての暗号書の謎解きは遣りたかった」


「おじさんに貰った脇差し、偶然だけど江戸賀じいさんの『富士に三日月』ってこれの波紋の事で、柄頭に財宝の隠し場所のヒントが有る分解の仕方分からんので、おじさんに柄頭の止め具分解して貰いに来たんだ」


「そう言う事なら任せてくれ!」

 おじさんが金具を取り除き柄頭の中から和紙のこよりを取り出した。

 こよりのりを戻し広げて見てる、僕も除き込んだが達筆過ぎて全く読めん。


『覧歩卯じい様から北に100歩 江戸賀 嘉永六年吉日』

 ※嘉永六年は西暦1853年


(覧歩卯じいさんは、阿河沙婆さんの謎を解き便乗、江戸賀じいさんは覧歩卯じいさんの謎を解き便乗、って事だろ? 暗号を皆良く勉強してたんだな)


「これは、見付けてる、猫が掘ってた3ヵ所の1つだ……それにしても、この波紋は見事だな! 流石高校生探偵は目の付け所が違うな!!」


(刀は長過ぎるし、短刀は短か過ぎてセコい感じ、適度な長さの物を適当に選んだだけだが、良い方に勘違いしてくれて訂正する必要無いな)

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