女の木

もう何十年も前のこと。ある女がいた。

女は一本の木を大層可愛がっていた。

他の人間が近づこうものなら、鬼の形相で追い払うほどその木に執着していた。

ある時、女は忽然と姿を消した。近隣住民があちこちを探して回ったが結局誰にも見つけられなかった。

そして月日は経ち、件の木もすっかり枯れ果て、ついに伐採されることが決まった。

木はあっさりと切り倒され、残った切り株も重機により掘り起こされた。

その時、作業をしていた業者の悲鳴が響いた。

掘り起こされた切り株の下。

そこにあったのは、無数の人間の頭蓋骨だった。

果たして、失踪した女はこの事実を知っていたのだろうか。

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