第11話

僕は悩んでいた。どの服が悠人を誘惑することができるのかと?単純に考えると露出の多い服が一番、男の子を興味やそういった欲をそそることができるだろう。しかし、そういう服を着るほどのスタイルの良さがあるかといわれれば、少し分からない。


運動はよくするし、ぽっちゃりってわけでもないけど。


「さすがにこれは良くないか」


胸元ががっつり空いた服を手に取ってみた。なんで、この服は本来隠すべきところがなんで穴開いているのだ。一度、着てみるか。そう思って、装着し鏡の前でポージングをしてみた。


「は、破廉恥すぎる……」


こういうのはもう少し大人になってからだな。僕は一度、その服をかけ直して、大人っぽい服に手を出した。


「す、スカートか」


僕は私服でスカートを着たことは小学一年生以来ない。だから、ほとんど似合っていたか、などの記憶がないのだ。プリーツスカートに手を出してみた。


「スースーするよ……」


この心もとない衣類はなんだ。風が吹けば、中身が見えてしまうではないか。でも可愛いのは間違いがない。いかにも女の子である。僕はこんなもの似合わないと思っていたが、なかなかやれるではないか?少しだけど自信が出てきた。この調子で私はカーディガンをチョイスした。


「これに決めた!」


そういって、僕は隣の家に行こうと思った。しかし、そこで僕は唐突な不安に襲われた。


『静……なんだよ、その格好……。俺のことそういう目で見てたのか?友達って言ってたじゃないか』


悠人がそんなことを言うはずがない。そうは思っているのに、僕の足はすくんだ。そして、スカートから入ってくる空気がとても冷たく感じた。


「でも、やらなきゃ……とられちゃうもん」


僕は悠人が朝比奈ちゃんの彼氏になってしまったことを想像して、一歩踏み出して隣の家に向かった。まだ、悠人は帰ってきていないはずだ。なので、家にいるのは悠人のお母さんだけだろう。僕はインターフォンを押した。


少し時間がたってから、悠人のお母さんが出てきた。僕のことを見るやいなや、驚いた表情を浮かべた。


「静ちゃん、その服……」

「に、にあってないですよね?」


やはり、僕が女物の服を着るなんていけないことだったんだ。そう思うと、僕がきているものは恥ずかしいもののように感じてきた。もう帰りたい。そう思っていたが、お母さんの驚きは予想もしていない方向だった。


「えらくかわいらしい格好しているわね。似合っているわよ。もう天使。私が生んだかしら?この子」

「え……」

「似合っているわよ。スカートとか嫌いなのかなって思っていたけれど、ちがったのね。静ちゃんは何でも似合うわね、もちろん、ボーイッシュな服装も好きよ」

「スカートがいいんですか?」

「そういってるじゃない。でもなんで服の系統を変えたの?」


そんな純粋な疑問に多分、僕は顔が赤くなっている。もう仕方ない。正直に言ってしまおう。


「悠人に意識してもらいたくて」

「あらま……」


お母さんは言葉を失ってから僕のことを抱きしめた。


「もううちの子ね。私がやっぱり生んだわ」


そんな言葉が苦しいなか、聞こえてきた。

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俺のことを友達としか見れないと言ってくるボーイッシュな幼なじみが俺に言い寄ってくる子がいると知ると女を見せてくるようになった件 伊良 @hirototo

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