第2話 何か忘れてない?

『私は40歳の未亡人で、来月9歳になる娘がいます』


 さて、ここまでの流れで彼女がロマンス詐欺の方だというのは判明したのですが、一つ忘れていることがあるとは思いませんか?


 彼女はパーシー。

 歳は40歳の女性で、娘がいるアメリカ軍の女性船長。

 そしてロマンス詐欺をやろうとしている。


 ねえ?

 こちらの性別とか年齢とか聞かないの?

 こういうのって相手に合わせた設定しないと意味ないんじゃないの?


 台本があるとは思うのですが、どうやら彼女は大事な部分をすっ飛ばした模様。


「娘さんも一番可愛い頃ではないでしょうか?(n*´ω`*n)尊敬できるお母さんがいてうらやましいです(^▽^)」


 こちらの話ではなく、向こうの話を進めるとどう反応するのか気になりました。

 どこまで細かく設定を作っているんでしょうか?


『私の母は8年前に亡くなりました』


 おっと、Google翻訳さんが上手く伝えてくれてない模様。


「9歳の娘さんから見たパーシーさんのことですよ?」


『はい、その通りです』


 うーん。

 どうやらここがアドリブの限界のようです。


「そちらはそろそろ日付が変わった頃でしょうか?もう夜中ですよね?」


 日本とシリアの時差は六時間ですが、この時パーシーはアメリカにいると勘違いしていたのです。

 こっちが相手の設定忘れてましたw

 シリアはこの時早朝でした。


 ところが、


『はい、その通りです』


 お前どこの国のもんやねん!!

 ちゃんと時差ぐらい調べてこいや!!


 まあ、向こうが夜中という事なので(?)、その日は早く寝るように伝えてやり取りを終えました。




 その日の夜。


『こんばんは、友よ。私の人生にあなたがいてくれて本当に感謝しているんだ。あなたはこの世の幸せ全てに値する』


 パーシーからのDMが届きました。


 距離の詰め方エグッ!!

 会った(?)の昼間だよね?

 ちょっとやり取りしただけだよね?

 そんなに早く世界の幸せ手に入れられる!?


『今日の仕事はどうだった?調子はどう?夕食は何を食べるの?』


 仕事?

 休みでしたが?


 ああ、そうだ。

 昼間のやり取りを切り上げる時に昼休み終わるからって言ったわ。


「仕事は順調でした(^▽^)今日は少し肌寒いのでラーメン作って食べます」


『わあ、自分で料理をする男性がいるなんて、本当に驚きました』


 いや、ラーメンですよ?

 鍋で煮込んで野菜炒めたの乗せるだけですよ?


 ……男性?

 あれ?年齢も性別も伝えてないよね?


『今の男性は料理が好きじゃないから、無くなった夫だけができると思っていたんです』


 そんなことはないやろ。

 映画とかだと旦那さんが料理作ったりしてるの見た事あるよ?


「旦那さん、お料理する方だったんですね(n*´ω`*n)アメリカの方が日本よりも男性が家族を大事にしているイメージが強いんですけど、火事を手伝うとかではないんでしょうか?」


↑火事→家事。誤字って送信。


『それには賛成しません。家族を大切にするかどうかは個人的な判断だと思うからです。アメリカの男性のほとんどは家族を大切にしていません』


↑何故か翻訳通じた模様……。


 でもそれはあなたの個人的な意見ですよね?


 どうやらパーシーの中の人はアメリカの男性にあまり良い印象を抱いていない模様。




 別の日。


「パーシー。シリアは危険ではないですか?」


『もちろんあります。シリアの状況は非常に危険で、状況は別問題です。しかし、私は常に平和を促進し、人命を救う為に戦います』


 なんと高尚な魂!!

 そんなことを言える人がどうしてこんなことをやっているのか……。


「パーシーは素晴らしい人ですね!とても高潔な魂を持っていると感じます。でも娘さんのこともありますし。あなたのことを心配している人もいるというkとを心の中に留めておいてくださいね。あなたの人生を応援しています」


 だからこんなことやってないで真っ当に生きてね。


『わあ、娘以外でこんな言葉をかけてくれる人を聞いたことがないわ。本当にありがとう』


『まだ知り合ったばかりではありますが、誠実さと正直さと信頼をもって良い友達がいられることに感謝いたします』


 篠原涼子みたいなこと言い出した\(^o^)/


『お互いのことをもっと語り合いながら、アイデアを共有し、より多くの問題について議論していきたいと思っています』


 それはすでに達成されてますよ?

 最初からエッセイのネタになると思ってやり取りしてますからね?

 良いアイデアをありがとう!!






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