プロローグ(後編)
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《一回目の召喚からトータル56年》
あれからたくさんの魔王を倒し、その度に別の世界に召喚され、ステータスを得た
そしてこれで魔王を倒すのも254回目、ステータスがえげつない事になり、この世界に召喚されてまだ1ヶ月も経っていない
もう完全になれたものだ
元の世界に戻ったら普通に生活できるか不安だ
そんなことを思っていたらあっさり倒した
あぁ、また別の世界に召喚されるのだろう
そう思っていた
だが今回は違った
56年振りに見ている風景
「懐かしい机、懐かしい椅子!戻ってきたぁ!」
ついに戻ってくることが出来た!
254体の魔王を倒してようやく戻ってくることが出来た
クラスメイトも歓喜している
そうかこいつらは2つ目の世界を救ったところで止まっていたんだ
しかしこの世界だけ魔力が全くないな
この世界が異常なのか
すごく懐かしく感じるがこいつらからはそうでも無いのだろう
これからまた平凡で平和な日を送ることができるんだ
「おい!こっちでも向こうのステータスとかそのままだぞ!魔法もスキルも使える!」
そんな声が上がってくるまで帰ってきて10分も経たなかった
しかし驚きはしなかった
別の世界で別のステータスや魔法が使えるのは俺は何度も体験していることだ
しかし、少しやることが出来たな
力を持ったものはその力に溺れやすい
しかもこれはおそらくこのクラスの人間しか持っていない力だ
誰かが暴れたりしたらこのクラスメイトしか止めることはできないし、クラスの過半数が暴れたら、俺以外対処はできないだろう
俺はこのクラスの全員が暴れても対処できるが面倒だ
対処出来ても俺が現場に行くまでに死人は出る
仕方ない、ここで対策を打つべきだろう
俺は教壇の前に行く
「はーい注目、みんなこっちみて〜」
その言葉に全員がこちらを向く
よし、俺と目が合っているな
「《思考誘導》『絶対に向こうで手に入れた力を悪用するな』」
よし、これでいいだろう
完璧とまではいかないが面倒事を起こす確率はかなり減った
一瞬全員の目が虚ろになったあと元に戻った
すると優也が
「みんな!異世界から帰ってきて浮かれるのはいいが今日はこれから授業がある。サボらずしっかり受けてから家でよく休むように!それから異世界のことは誰にも話さないように」
みんな了承の声だった
授業を受ける事は今までだったら、いやいやという感じだっただろうが、みんな半年ぶりということで、少し楽しみなのだろう
すると優也が俺に近づいてきて耳元で囁いた
「ありがとな、暴走しないようみんなを思考誘導してくれて」
どうやらこいつは思考誘導にかかってないらしい
勇者の恩恵だろうか
幸いなのは優也だということだろう
こいつなら犯罪に手を染めることは無さそうだ
「一応言うが、思考誘導のことは誰にも言うなよ?自分の思考が誘導されてるって気づくと解けやすいから。」
「わかってるよ。まあ勇者だったもの同士、このクラスを導いていこうな!でもなんか嫌な予感するからお互い気をつけようぜ!」
あぁそうか
たしかにこいつとは全然違うけどあの世界で勇者だったことに変わりは無い
こいつと協力するのは悪くない
それにしてもこいつが嫌な予感か...
こいつの嫌な予感は当たるから警戒しておこう
ここで気づくべきだった
誰かが暴れる位では俺と優也で全然対処できるからなんの問題もない
それなのに嫌な予感がするということは、相当な大事だということを
《深夜》
「やっと仕事が終わったー」
職員室で1人の教師が仕事を終わらせたところだった
「それにしても今日の4組はやけに静かだったなー......ん?」
誰もいないはずの校舎内に小さい影が見えた
「おーい?誰だ?こんな深夜に危ないぞー」
返事は無い
「小学生、いや中学生か?」
子供が肝試しにでも来たんだろう
そう思って近づき、影の正体を見てすぐに彼は意識を失った
頭から血を流している死体が廊下に横たわっている
「ギギッ」
彼の死体のすぐ側には
緑色をした二足歩行の謎の生物が20体以上いた
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