脱「女々しい男子」
「承知」 LINEを送信した後すぐ「そうだ。この事は不二田君には伝えずに、5日は一人で来てほしい」というメッセージがユウジから慌ただしく送られてきた。深読みをするタイプでは決してない僕はこの時、単純に不二田は能力者ではないから違う役割になったんだと解釈する。
ようやっと2日になって、不二田から「明けましておめでとう」メッセージが送られてきた。実は元旦の昨日、普段は割と早めに来る返信が全く来ず不安になり、元旦の挨拶について「お喋りAIアプリ」を使い色々と調べていた。そのなかで。
「もし失礼があったとしたら幾つかの候補はありますが、もしかすると彼は喪中である可能性が考えられます」
近親者を亡くした遺族が故人を偲び、悲しみに寄り添いながら、お祝い事や派手な行動を控えて慎ましく過ごす期間である「喪中」には、年賀状を控えたり祝い事を避けるなどのマナーが存在する。
小・中からその先の学校生活も含めて同じクラスや学年内で、友達の身内が不幸に見舞われてしまったという経験は、多数の人間が通る道ではないだろうか。その対象が翻って、自分自身である可能性も当然あり得る。
僕も小学生時代、仲の良かった友人の身内に不幸があり、母親から「今年は〇〇くんに年賀状を送るのは辞めておこうね」と言われたことがある。今回の件で当時感じた「何とも言えない空気感」を、僕は肌レベルで鮮明に思い出した。
それに伴い、心配性の僕はシンプルに不安になり「良くない事しちゃったかな…」と考えが巡りに巡って、昨晩はあまり深く眠れずに朝を迎えた。
「ごめん、喪中だったりした…?」
「いや?全然?」
喪中に限らず失礼はどうやら無かったけれど、それはそれで何かモヤモヤした。そういえば今年の僕は、まだまだ沢山の目標がある。その一つがこの「良かった」↔「だとしたら何で返信遅かったの?!」という気持ちに挟まれて、身動きが取れなくなるのを「どうにか」する事。
自分の「メンヘラ的思考」を、世間で流行るポップスと重ね合わせて、危機感を覚えた昨年の僕。そしてそれを女の子にモテない理由と位置づけ、これも年末に「脱!女々しい男子」と一つの目標に掲げたのだ。
大きな目標が無いと、僕は全くと言っていい程に動かないし動けない。そして日常では、毎回その様な大きな波が来るわけでもない。だからこそ身近に転がる原動力という意味で言えば、異性からモテたいという思想による浮力は素晴らしく、今のところ「僕が行動する動機ランキング」をつけるなら、これが圧倒的な1位になるであろう。
それはそうと僕の騒々しい頭の中は、お正月など全く関係なくフル回転をし続ける。そして三賀日みたいな「めでたい」数日間は、あっという間に過ぎ去った。
そして迎えた1月5日。
僕は独りで仕事初め当日を迎える。
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