恋愛音痴ですません

宜野座 康平

プロローグ 

「さっきからずっと見てるね。かのか」

「うん。この写真の人凄く嬉しそうに笑ってるから。誰に笑ってるんだろう?」

「そうだな…… お父さんも誰に向けてかはわからないけど、きっと仲の良い人なのかもね」

「そっか」


 小3の時に親と散歩に出かけた時に、丁度催していた写真展にフラリとはいった時に飛び込んだ写真。タイトルは『僕のお父さん』

 私に笑いかけているのではと錯覚を起こすぐらい自然に、そしてあまりにも愉しげに笑っている姿に子供ながらに思わずこちらも笑みを溢してしまった。

 

 それは今でも忘れられず、子供心にあの人の様に私だけじゃなく周りの人も心の底から笑って過ごせたなら、それはきっと毎日が楽しいのではないかと思ったあの日……

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