第3話 食料コソ泥ハイエナ大作戦後編
ゴブリンの群れはグングンと森の中を進んでいく。草木をかき分け、川を渡り。
どこに向かってんだろ?
もしかしたら、秘密の狩りスポットでもあるのかもしれない。
「ぐぎゃっ!ぐぎぎ、ぐーぎゃ!」
先頭を進んでいた弓持ちゴブリンが足を止め、何事かを呼びかける。その掛け声に応じ、他のゴブリンたちも進行方向へと弓を構えた。たぶん、獲物を見つけたのか。
テキパキと準備を整えたゴブリンたちは、ゆっくりと前方の草むらににじり寄っていく。当たり前だが、ハイエナ狙いの僕はすることがない。なぜか、代表ゴブリンがこちらを見てきたので意味ありげに微笑んでおいた。
ブオオォォォ!
どのゴブリンだろうか。前の方のゴブリンが角笛を吹いた。角笛の合図でゴブリンたちが一斉に矢を放つ。
「ぴぎぃぃぃ!」
草むらの中から聞こえたのは豚みたいな鳴き声。一人のゴブリンが草むらへ飛び込み何かを引っ張り出す。
――――兎だった。
なんで、お前そんな声で鳴くねん。
それはおいておいて、さっきのは断末魔の悲鳴だったのだろう。たくさんの矢が突き刺さっている。恐らく、首筋に深く刺さった矢がトドメになっている。兎はぐったりとして(というか多分死んでいるけど)微塵も動かない。
これは、チャンスだな。
まさかここまで僕の計画どおりに進むとは。
自分の頭脳が恐ろしいぜ(偶然)。
さて、どうやって他のゴブリンの注意を引こうか。
……そうだ。獲物を見つけたふりをすれば、みんなそっちに行くんじゃないか?
さっきの呼び声を真似して……
「ぐぎっ!ぐぎゃぎ、ぐーぎゃ!」
「ぐぎッ!?ぐげッぐげッ!」
「ぐぎゃっぐぎゃ!」
「ぐげぎゃ!ぐぎゃっ!」
作戦どお…り?妙にゴブリンたちが慌て始めた。僕が指差した方向へ、叫びながら進んでいく。なんだろう、変なものでもあったのかな(自覚無し)。
理由は分からない。けどとりあえずゴブリンは誰もいなくなった。
よし、帰ろう。
用事は済んだ。僕は兎をひっつかむと元来た道を進む。
川を越えて、
草木をかき分けて、
川を越えて……?
あれ、おかしいな?この川さっき渡ったような?
ま、まさか新手の魔物の幻覚魔法!?(ただの方向音痴)
くっ、強い。まさか、この僕を惑わすなんて(だから方向音痴)。
僕は状況を冷静に分析する。
その瞬間、すっと真顔に戻る。
あれ、やばくね?
大森林の中で迷子。さらに周囲に大量のバケモノ。
え、どうしよ。終わった?
僕、兎と心中とかやだよ。せめて、食ってから死ぬよ。
……あ、そうだ。考えても仕方ないから兎食べよ(現実逃避)。
僕は近くの小枝を拾い集める。火をつけるためだ。
え?火をつける方法を知ってるのか?
当たり前だろ。中二病は無人島に遭難した時のために、火のつけ方と飲み水の確保の仕方は熟知しているもんなんだよ。
硬めの木、柔らかめの木。うまい具合に組み合わせる。
尖った木の枝をグリグリっと。
……あ、ついた。こんな上手くできなかったはずだけど……ゴブリンパワーかな?
とりあえず、火種ができたから風を送って火を煽る。柔らかい方はぱっと見乾燥してそうだったから、そっちに火をかける。
ゴオオォォォッ!
火が燃えあがった。あいにく、兎のさばき方は知らないので、そのまま火に放り込む。
モクモクと黒い煙が高く上がり、風で遠くまで流れていった。
なんか、こう風情がある。パチパチと火が爆ぜるのが。
僕はしばらくボーッとしていた。ふと気が付くと若干、日が沈み始めていた。
火の中の兎を見る。皮が真っ黒になっていた。
これ、食べれんのかな。さすがの僕でもほんの少し失敗したかもと気づく。とりあえず、重くてずっしりした長い木の枝で兎を引っ張り出す。
僕が兎に触る。その瞬間。兎が黄金色の光にばらけて消え去った。
――――は?
え、僕のお肉。お肉。お肉。
まじでなんなんだよ。もう散々だ。
僕は手の中を見る。そこには、少し黒ずんだ緑色の宝石だけがあった。
何に使うんだよコレ。魔石とでもいう奴か?
僕はため息をついて、ボーッとしながら正面を見る。
――――代表ゴブリンたちがひざまずいていた。
え、いつからいたの君たち。全然気づかんかった。
「ぐぎゃ。ぐぎゃぐぎゃ。」
代表ゴブリンが何事かを喋る。他のゴブリンが僕の前で頭を下げた。
ほんとになんなんだろ。
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ここまで読んでくださってありがとうございます!
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さて、ここでブラバしようとしている皆様。
どうせなら、次回の代表ゴブリン視点だけでも見て言ってくださいよ!
誤解、知りたいでしょ?
そして、面白かったら☆、♡、フォロー……etc.
丸兎
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