願い
しなないで
と願うのは
利己的
なぜ
いなくなってほしくないのか
バツが悪いからである
傷つけておきながら
生きて欲しいと願うのは
その死が
その喪失が
他ならぬ「私」
にとって
耐えがたいからだ
しかしその耐えがたさは
その人を思うゆえではなく
「私」自身の生活のために
耐えがたいのである
その人を思うゆえではない
ただあなたのためである
しにたい
と願うのは
利己的
なぜ
いなくなりたいのか
消えない傷をつけたいからである
平然と
笑い
日々を過ごす
加害者に一矢を報いるためである
それだけでしか
自らの傷をあがなう術を
知らないのだ
盲目なのだ
開かれた社会に
きっとその人は
他人に死を望まない
優しい人
けれど
その優しさを
利用されたことには
誰よりも
傷つく
そのとき
自分は
自分でなくなって
それなら
この世界は
自分の居場所ではなくなって
自らの意思で
決めるのだ
そうして
ようやく
解放される
そうして
ようやく
加害者は
自らのしたことの意味を知り
同じく
被害者の呪いから
解放される
そうして満足する
その満足を味わうことなどできないとしても
いなくなると言った人
生きていてと言う人
どちらも利己的
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