第46話 崩壊前夜──北連邦研究特区《バイオ・ゼクト区》

《幻律弦:Ω-響鍵》の最終調律には、“夢”と“物質”を繋ぐ触媒が必要だった。

 その名は《DREAMCHEM-XV》──通称「夢結晶複合体」。


 その唯一の合成方法は、かつてドリカム社が秘密裏に管理していた廃研究都市、北方のバイオ領域「バイオ・ゼクト区」にあるという。


 しかし、そこはすでに“ある男”が掌握していた。



---


◆ 混成の暴君:斎藤龍興Chimera-Warlord Ver.


 赤黒い霞に包まれたゼクト区最深部――

 実験炉跡地の中心に、異形の巨体が座す。


> 「貴様らが“響鍵”の器か……その力、実験には丁度良いな」


 姿を見せたのは、斎藤龍興。

 戦国末期に若くして大名となり、史実では信長に敗れた彼は、《SENGOKU-LINK》により復活後、

自ら人体を実験対象とし、夢と化学の融合体へと“進化”していた。


> ◆ 斎藤龍興

◆ Chimera-Warlord(混成戦君)Ver.


 その肉体には、**ハイブリッド化学物質夢凝融合体S-TX27**が流れている。



---


◆ 夢と物質を繋ぐ因子夢凝融合体S-TX27


 この物質は、夢に含まれる「記憶・意志・感情」を有機結晶として固定化する“違法分子構成物”。


> ユウト「それって……“夢”を素材に、武器や装甲を作れるってことか!?」

龍興「違うな。“夢そのもの”を、俺の血肉にできるということだ」



 彼の体は変異していた。

 怒りや憎悪、失われた野心――すべてが物質化し、生体戦術兵装へと変化する。



---


◆ BATTLE:佐倉&ユウト vs 斎藤龍興混成戦君


 佐倉は幻律弦でコードを鳴らすが、音波が届く寸前、龍興の肩から生えた“夢凝盾”が旋律を吸収する。


> 龍興「ここでは音も感情も無駄だ。夢はすでに、物質に堕ちた」



 ユウトはEMPランチャーで応戦。

 だが、龍興の脚部装甲には自動再結晶フィールドが搭載されており、砕けた瞬間に夢粒子が再合成される。


> 佐倉「……あれが、“夢の不死”ってやつかよ……!」



---


◆ 逆転:響鍵=夢の物性共鳴


 追い詰められた佐倉は、Ω-響鍵に封じられていた《夢周波コードβ》を初めて解放する。


 それは――夢を“記憶”ではなく、“可能性”として演奏する音。


> ♪「限界を超えたその先で――夢は再構成される」


 音が龍興の結晶体に干渉し、“彼の失われた本来の夢”を再投影する。


> 龍興「なっ……これは……まだ父に褒められた頃の、俺……?」


 そして次の瞬間、Ω-響鍵が放った共振斬音が、夢凝融合体を分解。

 暴走するハイブリッド物質は反転崩壊し、龍興の巨体は崩れ落ちた。


---


◆ 龍興の最期と“警告”


> 龍興「夢を物にする者は……最後には、物に食われる……」


 彼は“夢の化学”が持つ制御不可能性と、

 それでもなお人が“夢にすがる”危険性を言い残し、静かに溶けて消える。


---


◆ 獲得アイテム:DREAMCHEM-XV


 龍興の中核から抽出された最終触媒物質DREAMCHEM-XVにより、Ω-響鍵がついに完全起動。


> 佐倉「これで……響鍵が“開ける”準備は整った」 ユウト「あとは、扉の向こうに何があるかだな」


 だが背後の空間には、さらに異様なノイズが走っていた。

 まるで、別の“夢”が、こちらに気づいたかのように――


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る