義妹フルスロットル ――遠慮なんかしてられない――

第41話：生徒会の刺客！料理対決編

進路調査の波紋が残る学園で。

悠真の「完璧さ」は、もはや隠しようがなかった。

学園中に広がる「悠真先輩超人説」は。

ついに生徒会の耳にも届く。

生徒会長、鳳凰院麗華（ほうおういん れいか）は。

学園の秩序を重んじる、厳格な人物だ。

彼女は、悠真の存在が、学園の「常識」を。

揺るがしかねないと感じていた。

麗華は、悠真の「完璧さ」が、

学園の生徒たちに与える影響を危惧していた。

（完璧すぎる存在は、時に、

人々の努力を無意味にする…）

彼女は、悠真の真の力を測るため。

そして、その「完璧さ」の正体を暴くため。

ある計画を立てていた。

ある日の放課後。

悠真が家庭科室で、明日の授業の準備をしていると。

突如、生徒会の一団が押し入ってきた。

先頭に立つのは、鳳凰院麗華。

その瞳は、鋭い光を放っている。

「悠真くん、あなたね。

学園の風紀を乱しているのは」

麗華の声は、凛として、家庭科室に響き渡る。

悠真は、驚きながらも、冷静に対応する。

「何か、私に御用でしょうか、会長？」

麗華は、悠真の完璧な立ち居振る舞いに。

さらに警戒心を強める。

「あなた、完璧すぎてずるいわ。

その存在が、学園の生徒たちに。

無用な劣等感を与えている。

学園の秩序を乱す存在は、看過できない」

麗華は、そう言って、悠真に挑戦状を叩きつけた。

「わたくしと、料理対決をなさい。

もし、わたくしが勝てば、あなたは。

学園での『完璧』を、控えめにすること。

そして、今後一切、生徒たちの前で。

その異常なまでの能力を披露しないこと。

それが、わたくしからの要求です」

悠真は、一瞬戸惑った。

彼の「完璧さ」は、家族を守るためのもの。

決して、誰かを傷つけるためのものではない。

しかし、麗華の真剣な眼差しを見て。

彼は、この対決が避けられないことを悟った。

「…分かりました。お受けしましょう」

悠真は、静かに、しかし力強く答えた。

こうして、学園の家政科頂上決戦。

「料理対決」が開催されることになった。

対決の舞台は、学園の調理実習室。

全校生徒が見守る中、対決の火蓋が切られた。

審査員は、家庭科教師と、学園の理事長。

そして、食にうるさい学園長だ。

テーマは、「家族に食べさせたい料理」。

悠真は、家族への想いを込めて、

得意の和食を作ることにした。

麗華は、完璧なレシピと、洗練された技術で。

見た目も美しい、フランス料理を作り始める。

桜は、悠真の応援に駆けつけ、声を枯らす。

「お兄ちゃん、頑張って！お兄ちゃんが一番！」

葵は、悠真の動きを、真剣な眼差しで見つめる。

彼女は、悠真の料理に、彼の優しさが。

込められていることを知っている。

紗耶は、「あんた、負けたら承知しないからね！」

と、ぶっきらぼうに言うが、その表情は。

どこか心配そうだ。

小梅は、審査員席の隣で、お腹を空かせている。

親衛隊は、悠真を「純粋な料理の精」として。

守るべく、麗華の邪魔をしようと画策するが。

生徒会の厳重な警備により、失敗に終わる。

悠真は、流れるような手つきで、

食材を捌き、調理を進めていく。

その動きは、無駄がなく、まるで芸術のようだ。

彼の包丁さばきは、見る者を魅了する。

麗華は、悠真の完璧な動きに、驚きを隠せない。

（これが…彼の「完璧」…！）

彼女の心に、焦りと、微かな興奮が入り混じる。

調理が進むにつれて、家庭科室には。

食欲をそそる香りが充満していく。

そして、ついに料理が完成した。

悠真の料理は、見た目は素朴だが。

一口食べると、心が温かくなるような。

深い味わいが広がる。

麗華の料理は、見た目も華やかで、

繊細な味が舌を喜ばせる。

審査員たちは、どちらの料理も甲乙つけがたいと。

頭を抱えていた。

結果発表。

審査員長である学園長は、悩みに悩んだ挙句。

「どちらの料理も、甲乙つけがたい。

しかし、どちらも、食べる者の心を。

深く満たす力がある。

よって、今回の対決は…引き分け！」

学園長は、そう宣言した。

勝敗は曖昧にぼかされ、「誰が勝ったか分からないけど、

みんなが幸せになった」という、コミカルな結末になった。

麗華は、悠真の料理の前に、静かに佇む。

彼女は、悠真の「完璧さ」が、

単なる技術だけではないことを理解した。

それは、彼が持つ、誰かを思いやる心。

そして、家族への深い愛情から生まれるものだと。

「…悠真くん。あなたには、一本取られたわね」

麗華は、そう言って、微かに微笑んだ。

彼女は、悠真の人間的な魅力に、さらに惹かれていく。

そして、生徒会のメンバーもまた、悠真の魅力に。

引き込まれていくのだった。

この対決の後、理事長は、悠真の父に。

「悠真くんの進路は、彼自身に決めさせるべきです。

彼の才能は、私たちが思っている以上に。

計り知れないものですから」

と、進言した。

理事長は、悠真の亡き母の武術ノートの調査を。

メイド隊長・橘凛に指示し、さらに進めていた。

橘凛は、ノートの中に、

「武術の極致は、心を映す鏡。

真の完璧は、愛から生まれる」

という、意味深な記述を見つける。

彼女は、悠真の「完璧さ」の真の理由が。

彼の家族への愛にあることを確信する。

（坊ちゃまの力は、愛から生まれている…）

これはもう、遠慮なんかしてられない！

物語は、新たな絆と、潜む危険が交錯し、

フルスロットルで加速していく。