義妹フルスロットル ――遠慮なんかしてられない――

第40話：進路調査開始と“完璧”の圧力

一月も終わりに近づき、学園では。

進路調査の時期がやってきた。

生徒たちは、それぞれ自分の未来について。

真剣に考え始める。

三者面談の案内が配られ、廊下では。

友人たちが、将来の夢について語り合っていた。

悠真もまた、自分の将来について考える。

彼の心には、揺るぎない決意がある。

「誰かの役に立ちたい。家族を守りたい」

それは、彼の「完璧さ」の根源であり。

「絆の家族（ホーム）」を守るという誓いだ。

悠真は、進路調査票に、鉛筆を走らせる。

家事代行、料理人、インテリアデザイナー。

あるいは、護身術の指導者。

家事や生活、そして武術に関わる方面の進路を。

漠然と考える。

どの道を選んでも、彼の「完璧さ」が。

活かされることは間違いない。

しかし、彼の心には、微かな迷いがあった。

「本当に、俺は、このままでいいのか…？」

彼の瞳は、遠くを見つめている。

担任教師が悠真の席にやってきた。

「悠真くん、進路希望調査票、もう書けたかい？

君は成績も優秀だし、家庭科の腕前もずば抜けている。

何か特別な目標があるのかな？」

先生が優しく尋ねる。

悠真は、鉛筆を握りしめ、言葉を詰まらせた。

彼の心の中には、まだ、明確な答えがない。

「…将来、何になりたい？」

その問いは、悠真にとって、重くのしかかる。

彼は、ただ、皆が笑顔でいられる場所を。

守りたいと願うばかりだ。

放課後、悠真の父は、理事長室を訪れていた。

進路のことで、理事長と話し合うためだ。

「悠真の進路についてなんだが…」

父が口を開くと、理事長は静かに頷く。

新しい母である理事長は、悠真の才能と将来性を。

鋭い眼差しで見抜いていた。

彼女は、悠真が本当にやりたいことを見つけられるよう。

様々な情報を提供したり、助言を与えたりする。

しかし、理事長は、悠真の未来を。

自身の経験と、亡き母の過去に重ね合わせていた。

（悠真くんの持つ力は、計り知れない。

彼が、あの奥義を完全に覚醒させれば…）

理事長の心には、悠真の亡き母の過去がよぎる。

理事長は、悠真の才能を最大限に活かすため、

密かに悠真の進路を操作しようと動き出す。

彼女は、悠真に、自身の系列の大学や、

武術に関連する専門学校を推薦するよう。

担任教師に圧力をかけた。

その行動は、悠真の父には、知らされていない。

父は、悠真の自主性を尊重しつつも。

新しい妻の行動に、何か不穏なものを感じる。

彼は、悠真の未来が、妻の思惑によって。

決められていくのではないかと、少し戸惑っていた。

悠真親衛隊は、悠真の進路の話題に敏感に反応した。

リーダーの白石麗華は、親衛隊のメンバーに厳命を下す。

「悠真先輩の進路は、私たち親衛隊が守り抜く！

不純な道へ進ませてはなりません！」

彼らは、悠真の進路調査票を監視したり。

進路指導の教師に圧力をかけたりと。

その行動は、ますます過激化していく。

「悠真先輩は、学園のアイドル！卒業なんて許さない！」

親衛隊は、悠真を学園に留め置こうと画策する。

義妹連合もまた、悠真の進路の話題に敏感だった。

桜は、悠真が遠くへ行ってしまうのではないかと。

不安で胸がいっぱいだ。

「お兄ちゃん、どこにも行かないでね…」

葵は、悠真の進路について、冷静に情報収集を行う。

彼女は、悠真の夢を、一番近くで支えたいと願う。

紗耶は、悠真の進路について、

彼自身の意思を尊重すべきだと考えるが。

内心では、悠真が自分から離れていくことに。

強い寂しさを感じていた。

「あんた、どこに行ったって、私たちがついていくんだからね！」

彼らは、悠真の進路を巡って、親衛隊と対立する。

メイド隊長・橘凛は、悠真の亡き母の武術ノートの調査を。

さらに進めていた。

彼女は、ノートの中に、悠真の亡き母が。

ある「奥義」の継承者を求めていたこと。

そして、その継承者が、悠真である可能性を示唆する。

記述を見つける。

橘凛は、悠真の進路が、彼の運命に深く関わることを察知し。

彼の安全を守るため、密かに動き出す。

彼女は、理事長の密かな動きにも気づき始めていた。

（理事長様は、何を企んでいらっしゃる…？）

悠真の周りの騒動は、彼の進路を巡って。

ますます複雑な様相を呈していく。

悠真は、自身の出生の真実を受け入れつつも。

改めて「誰のために、何を守るのか」という問いと向き合う。

彼の心に、ぼんやりとだが、将来の。

「絆の家族（ホーム）」の形が見え始めていた。

彼は、自分の選んだ道が、

この家族を守る道であることを願うばかりだ。

これはもう、遠慮なんかしてられない！

物語は、進路という新たな波乱をはらみ、

フルスロットルで加速していく。