義妹フルスロットル ――遠慮なんかしてられない――

第38話：正月ドタバタ！初詣と家族の距離

雪山の興奮冷めやらぬまま、年末はあっという間に過ぎ去り。

新年、正月が訪れた。

悠真の家は、正月三が日も賑やかで。

家族全員で、近所の神社へ初詣に出かけることになった。

澄み切った冬の空の下、神社の参道は。

多くの人で賑わっていた。

悠真は、皆が快適に過ごせるよう。

人混みの中でも、常に周囲に気を配る。

彼の完璧な気配りは、初詣でも健在だ。

人波を巧みに避けて、家族を誘導していく。

神社に着くと、まずは手水舎で身を清める。

悠真は、作法通りに、手際よく身を清める。

その動きは、まるで古武術の型を見ているようだ。

桜は、悠真の隣で、作法を真似しようと奮闘するが。

水が跳ねて、顔にかかってしまう。

「きゃっ！冷たい！」

悠真は、桜の顔に優しくタオルを差し出す。

「大丈夫か、桜。焦らなくていいんだぞ」

その優しさに、桜の頬が赤く染まる。

葵は、悠真と桜の様子を、静かに見つめる。

彼女の瞳には、家族の温かさへの憧れが宿る。

紗耶は、悠真の優しさに、少しだけやきもちを焼く。

「あんたは、本当に優しいんだから…」

彼女の言葉には、隠された愛情が込められている。

小梅は、手水舎の水で、おもちゃの金魚を泳がせようとして。

悠真に止められる。「小梅ちゃん、神聖な場所だよ」

参拝を終え、おみくじを引くことに。

悠真が引いたのは、「大吉」だった。

「今年は、良い年になりそうだね、お兄ちゃん！」

桜が嬉しそうに、悠真の隣で跳ねる。

葵は、「さすが悠真先輩ですね」と、微笑む。

紗耶は、「あんたの運気、分けてちょうだい！」と、

悠真の袖を掴む。

小梅は、おみくじの棒を、金棒のように振り回している。

初詣の後は、皆で、悠真の家で。

お正月料理を囲んだ。

悠真が作ったおせち料理は、どれも絶品だ。

一つ一つが丁寧に作られ、彩りも美しい。

「悠真くんのおせち、本当に美味しいわ！」

理事長が、満足そうに微笑む。

「悠真は、本当に料理の腕を上げたな！」

父さんが、感心したように言う。

悠真の完璧な家事スキルは、お正月でも健在だ。

食卓を囲む時間は、家族の温かさに満ちていた。

悠真は、皆の笑顔を見ていると、心から幸せだと感じる。

それは、彼が「絆の家族（ホーム）」として、

守りたいと決意した、まさにその光景だった。

悠真の心に、温かい感情が広がる。

（みんなが、こうして笑っていられるなら…）

食後は、皆でこたつに入り、だらだらと過ごす。

こたつの中は、じんわりと温かい。

悠真は、真ん中に座り、その周りを。

桜、葵、小梅、紗耶が囲んでいる。

まるで、悠真が太陽であるかのように。

桜は、悠真の腕に寄りかかり、うとうとしている。

「お兄ちゃんの隣、温かい…」

その寝息は、穏やかだ。

葵は、悠真の膝の上に、静かに。

本を広げているが、その視線は。

時折、悠真の方へと向けられている。

彼女の頬は、僅かに赤く染まっている。

紗耶は、悠真の足に、自分の足を絡ませ。

暖を取っている。

「あんたの足、妙に暖かいんだけど」

照れ隠しのような言葉だが、その表情は、

どこか満足げだ。

小梅は、悠真の隣で、お年玉を数えている。

「お兄ちゃん、お年玉ありがとう！」

悠真の周りは、まるで磁石のように。

彼女たちを引きつけて離さない。

みんなの“距離”が、ちょっと近くなった気がする。

ささやかだけど、印象深いエピソードが続く。

夜。正月ならではのお年玉の時間がやってきた。

悠真は、一人一人に、心のこもった。

お年玉を用意していた。

お年玉袋には、それぞれに合わせた。

手書きのメッセージが添えられている。

悠真の完璧な気配りが、ここでも光る。

そのお年玉を受け取ったヒロインたちは。

皆、悠真の優しさに、胸を熱くする。

桜は、悠真のお年玉を受け取ると。

嬉しそうに、悠真に抱きついた。

「お兄ちゃん、ありがとう！大好き！」

葵は、悠真のお年玉のメッセージを読み。

静かに、しかし深く感動していた。

「悠真先輩…本当に、ありがとうございます」

紗耶は、悠真のお年玉に、照れつつも。

「あんた、こんなことまでできるなんてね」

と、感謝の言葉を述べた。

この正月は、家族全員にとって。

温かく、そして特別なものとなった。

悠真の父と理事長も、新しい家族の温かさを実感する。

理事長は、悠真の亡き母の武術ノートの調査を。

メイド隊長・橘凛に指示し、進めていた。

彼女は、正月の賑わいの中に、

かすかな不穏な気配を感じ取っていたのだ。

（この平和が、いつまでも続くといいけれど…）

橘凛は、悠真の亡き母の武術ノートを読み返し。

その内容から、不穏な動きを察知し始める。

悠真の周りの騒動は、新たな危険の始まりを告げていた。

これはもう、遠慮なんかしてられない！

物語は、家族の温かさと、潜む危険が交錯し、

フルスロットルで加速していく。