リーゼントが自慢の桐原剛士は、かつて世界を制した元ボクシングチャンピオン。しかし引退後は売れないタレントとして細々と活動している。そんな彼がテレビの企画で東北のカーリングチームに体験入団することに──。落ち目の元世界王者が、新たな舞台で再び情熱を取り戻していくスポ根ドラマです。
鹿児島出身の剛士は、氷の上を滑った経験すらないド素人。学生相手にカーリング対決を挑むも、テレビカメラの前で無様な敗北を晒してしまう。悔しさを胸に地元へ戻り自主練習を重ねるうちに、次第にカーリングの奥深さに惹かれていく。下手でもひたむきに努力する姿が純粋で、思わず応援したくなります。
カーリングと真剣に向き合う剛士の姿に、ゲスト扱いからチームの仲間として認められていく様子が胸を打ちます。しかし実力と経験の差は歴然。試合ではリザーブとしてベンチに座るばかり。それでも彼は腐らずに出場の機会を信じて汗を流す。年齢や過去の栄光を笑われても、ネットで醜態を晒されても、決して諦めない。そんな剛士のアスリートとしての生き様がかっこいいんです。
何かに熱中することは、決して恥ずかしいことじゃない。情熱が人生を輝かせる。剛士の奮闘を通して、自分も何かに挑戦してみたいと思わせてくれる作品です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)