第14話 KING
――姫路。港湾倉庫群。
その深奥にて、“KING”は目を覚ました。
かつて、末端の強盗や詐欺に手を染めていた若者たちの集まり。
だが今では、「再生の医師団」と結託した傭兵ネットワークと化していた。
指揮系統は、トランプの4スートで分かれている。
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♡ハート:Dr.
「循環とは、命の再起動だ」
志岐は、かつて神戸中央病院に勤務していた天才外科医。
だが、ある“保険未加入患者”への緊急バイパス手術を強行した結果、医師免許を剥奪された。
現在はKING内で、**“心停止したVIPを密かに蘇生させる闇の執刀医”**として活動している。
今回、ヴァイレクト製の心臓補助装置をハッキングする任務を担っていた。
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♦ダイヤ:ミコト・ロウ――元・宝石鑑定士
「人間の価値は、硬度と透明度で決まる」
元・芦屋の高級宝石商にして詐欺師。
医師団とは金銭面でのみ提携しており、亡者の心臓をダイヤモンドに加工するアートビジネスを展開している。
今回、ヴァイレクト幹部の一人が“心臓ダイヤ”として殺害された。
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♣クラブ:ユエ――薬剤師兼バイオハッカー
「処方せんは、毒にもなる。未来もね」
かつて製薬大手に勤務していたが、開発した鎮痛薬が自殺者を急増させた事件で業界を追われた。
現在は**“認可前の試薬”を裏市場で流通させる毒の配達人**。
KINGの兵士たちに**強化薬を投与し、廃人化させる代わりに戦闘力を与える“契約”**を管理している。
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♠スペード:ユーリ
「何も持たない俺は、全部壊せる」
学歴も職歴もない、無名の青年。
かつて自殺志願者としてスカウトされ、KINGの“最終兵器”となった。
身体には、ユエの施した薬物耐性強化改造が施され、痛覚が完全に遮断されている。
言葉を持たない。
だが、“死んでいることに気づいていない目”で、命令に従い続ける。
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■闇の契約、動き出す
その夜、ヴァイレクト社本社ビルにて異常発熱事故が発生。
社内のAI防衛システムがハッキングされ、研究データが全て外部へ送信された。
【送信元:CardioNode_047】【宛先:再生の医師団】
ファイル名:「保険適用外心臓手術患者の選別アルゴリズム Ver3.6」
――それは、医療AIが**“経済合理性”で命の選別を行っていた証拠**だった。
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■蟇田、潜入
一方、蟇田刑事はかつての同僚・
そこで見たのは、無数の人間が**脳だけを保存された“意識保管槽”**に接続されている光景だった。
「……こいつら、“治療対象”じゃない。
“実験体”だ……失敗した薬剤・手術の、予備記憶媒体だと……?」
傍らのファイルに、ある記録があった。
> 「実験番号E-47:蟇田 真理絵」
「分類:脳圧急変モデル/水腫変性→意識保存試験→失敗」
「メモ:処理済。供養不要」
蟇田の瞳に、炎が灯る。
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