第9話 沖縄旅行編1
那覇空港を出て三姉妹の三女である
「い、伊織はそのぬいぐるみどうしたの?」
「お、お小遣いで買った……」
いつもながら声が小さくて恥ずかしがり屋。そしてめちゃくちゃ可愛い。
これぞ妹って感じだ。可愛い。君こそがマスコット。癒しのエンジェル。
「でも、沖縄ってそんなにマスコットがいるんだね。全部、全く違うようなキャラクターばかりですごい」
「うん」
「結構好きなの?この、えっとナッキーってキャラクター」
「今日初めて知った」
「そうなんだ」
やっぱり会話続かないな。この子が一番ピュアだし可愛らしいんだけど。
それに比べ、姉たちと言ったら……。
「もう!これはわたしのステーキなんだから、紫苑はジュースでも飲んでてよ!」
「それは私が買おうとしたステーキ。だから私のもの」
何だか、みていて飽きない二人だな。
「それじゃあまず皆んなで、国際通りに行って沖縄そばでも食べようか?」
「でも、ちょっと歩かないと行けないよね。何分かかるかな」
「大丈夫!今日は事前にレンタカーの予約もしてあるから安心してくれ」
そういうと父さんはレンタカーの受け取りに行くからと言って離れて行った。僕らは少し亜希子さんと他4人で、てきとうに時間を潰すことになった。
時刻は昼の11時もうすぐお昼なのでお腹も空いたが、これから国際通りで昼ごはん。流石に立ち食いはフライングだし、お腹に溜まるからやめておこうと思っていたけど、隣の双子娘ふたりはそんなことお構いなしにステーキやアイスクリームを豪快に頬張る。
天音に関してはもう昼ごはんなんじゃって思うほどに真剣に腹を満たしていっていた。でも食べる表情は周りの観光客の中でもずば抜けて誰よりも美味そうに食べる。
「あんまり食べると昼食べられなくなるぞー」
「いいんだもん、わたし食べても太らないし」
「それは今だけかも」
「一回口閉じようか???」
何だか、本当に。初めて会った日はまさかこんなにも数日間で打ち解けて仲良くなれるとは思ってもいなかった。昔思い描いていた『兄妹』のイメージとは異なっているけど、とても良い方向に向かってるのかなって。今はそう思えた。
でも天音は良くとも、まだ紫苑。彼女のことは天音以上にわからないことだらけで、まだ時間がかかりそう。
あの時のハグ……。何考えてるんだ、この旅行中は全力で楽しむ!ただそれだけを考えることにしないと。
妹に恋愛対象だなんて、少しでも思ってしまったら、それはもう妹じゃなくなってしまう。
「あ、和夫さんが帰ってきたわよー。みんな行きましょうか」
あれ、また伊織のぬいぐるみが増えてる……。
——レンタカーに乗って国際通りへ。
移動中疲れたのか伊織はぬいぐるみを抱いたままグッスリ眠っている。
まぁ、あの短時間であれほどの大量なぬいぐるみ、グッズの買い物。疲れてしまうのも無理はないか。
有料駐車場に車を停めてついに国際通りへ。僕はお腹が空いてさっきからぐぅ〜っとお腹の音が鳴り始めている。
国際通りはとっても長い一本の道路がずーっと先まで続いていて、雰囲気は南国に来たかのよう。ヤシの木? みたいなのか数メートル間隔で植えられていてテンションがさらに上がる。
美少女三姉妹もたくさんそれぞれで写真を撮って。天音のカメラワークはとっても上手で、だけど紫苑は何だか下手だった。
「ねぇねぇ!!尚人くんさ!カメラマンしてよ!!今日からわたしの専属カメラマンね」
「まだいいよとも言ってないし、僕は下手だけど?」
「嘘じゃん!!だってさっき紫苑の手伝ってるの見た時にめっちゃ良かったし!」
「たまたまだよ」
結局、天音の専属?カメラマンになることになった。なんで受け入れたかというとそれはこの前の勘違い。『私、付き合っている人がいるの事件』である。
流石に他の家族でも、秀馬でもバラされるのは少し恥ずかしい。秀馬には絶対からかわれる。
「こんなのでいいのかな?」
「え、だめだよ!お蕎麦が写ってないじゃん!!……もしかしてわたしのこと好きすぎてー??? やだぁ〜シスコンお兄ちゃーん!」
「それはない」
「へぇー、まぁ撮り直しね」
「沖縄蕎麦を食べさせてくれ!!!!麺がのびるんだけど?!!!」
なんだかんだ言って、天音はやかましくて人使いが荒いけど楽しい。
義理でも、恋でも、積極的な妹でも。私たちのお兄さんでしょ? 星海ほたる @Mi510bunn
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