第15話:海の幸とクルーザーと、豪華ツアー

ついに海へとたどり着いたミツルとジャンク。


潮の香りと波の音、港に並ぶ漁船、そして市場に並ぶ新鮮な海の幸。


「……うまっ!」


ミツルは焼きたての魚をほおばり、目を丸くした。


「へへっ、海の幸ってやつだな。」


二人は市場でウニや蟹を買い込み、さっそく【プラスアルファ】を試してみる。


【ウニ ×2 → ウニ+2(棘強化・攻撃力UP)】 【蟹 ×3 → 蟹+3(超ボリューム蟹)】


ウニは刺身にするだけで、口の中に広がる風味が倍増する上、なんだか力がみなぎる感覚さえあった。


蟹は身がぎっしり詰まっていて、ひと口食べれば誰もが笑顔になる。


「……これ、解体して瓶に詰めて売り出そう!」


「おうよ!」


ジャンクはせっせと解体を手伝い、ミツルは瓶詰めを【収納スペース】で大量に用意する。


海の幸の特製瓶詰めは瞬く間に港で評判になり、さらにお鍋も売れまくった。


「鍋セットで魚介スープ作ると最高だってよ!」


「ありがとー!また来てくれよ!」


ホクホク顔で売上を数えていたある日、ジャンクがふと船着き場を見てつぶやいた。


「坊っちゃん……あの壊れかけの船、安いな。」


「……買う?」


「買っちまおうぜ。」


数隻のボロ船を購入した二人。


だが、ミツルはふと思った。


「……これ、しまえるかな?」


ためしに【収納スペース】を使ってみようとしたが、船が大きすぎて入らない。


そこで――


「……なら、プラスアルファだ。」


船と船を重ねて、力を込める。


光が港を包み込み、次の瞬間――


【船 ×3 → 豪華クルーザー】


「……おおおおっ!?」


そこに現れたのは、白く輝く豪華なクルーザー。


甲板は広く、客室も完備されている。


「坊っちゃん……俺たち、何者だ?」


「……もうわかんないけど、乗ろう!」


二人はクルーザーに乗り込み、港を出航。


途中で海の幸を調理してふるまい、集まった客を案内する。


「こちらが名物の超ボリューム蟹でーす!」


「こちらは攻撃力が上がるウニでーす!」


客たちは歓声を上げ、船上は大盛況。


まるでツアーコンダクターのように、ジャンクとミツルは笑顔で動き回った。


海風を浴びながら、ミツルは遠くの水平線を見つめる。


「……次はどこに行こうか。」


「坊っちゃん、可能性は無限大だな。」


豪華なクルーザーの上、二人は新たな旅路を胸に抱き、笑い合うのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る