第13話:鉱山の町とインゴッドラッシュ

長い道のりを経て、ミツルとジャンクはついに鉱山の町へと到着した。


しかし、目に映ったのは期待していた賑わいではなかった。


人通りはまばらで、店の看板もくすんでいる。


「……なんか、思ったより静かだな。」


「ほんとだ……鉱山がある町って、もっと活気があるもんじゃ……?」


ジャンクが通りがかりの老人に尋ねると、彼は肩を落として答えた。


「金が出る鉱山が隣町で見つかってな……人手が全部そっちに取られちまったんだ。」


「そ、そんなー!」


 ミツルは思わず声を上げた。


(インフレの縮図みたいな奴らだな……!)


だが、ミツルとジャンクはすぐに目を見合わせた。


「……だったら俺たちがやればいい。」


「だな。インフレしない俺たちで稼ごうぜ!」


町に残っていた数少ない鉱夫を雇い入れ、鉄や銅を採掘させる。


鉱夫たちは嬉しそうにツルハシを握った。


「坊っちゃん、こりゃあ良い鉱石だ!」


「よし、全部こっちに運んでくれ!」


ミツルは次々と鉱石を【収納スペース】に入れ、【プラスアルファ】を発動する。


【鉄鉱石 ×10 → 鉄インゴッド ×1】

【銅鉱石 ×10 → 銅インゴッド ×1】


ジャンクはそれを町の職人たちに売り込みに走った。


「こんな良いインゴッド、久しぶりだ!」


「これなら最高の鍋や剣が作れるぞ!」


職人たちの腕から次々と質の良い品が生まれ、町の市場に並ぶ。


やがて町全体が活気づき、通りには笑顔と声があふれていった。


こうしてミツルとジャンクは、鉱山の町を再び賑わいで満たしたのだった。


ある夜、店の軒先でインゴッドを並べながら、ジャンクが空を見上げて言った。


「次はどこに行く?」


ミツルも夜風を感じながら考える。


「……海でも見に行くかい?」


二人は顔を見合わせ、同時に笑った。


「いいね、それ。」


こうして今日も、インゴッドショップはフル稼働し、煌びやかな金属の光が夜の町を照らすのだった。

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