おバカだけが通れるダンジョン!?

タピオカまみれの地面から起き上がった颯斗は、べちゃっと黒糖の塊を手で払いながらつぶやいた。


「なんで俺、タピオカの上に寝てんの……?」


口に入れてみたら、案の定めちゃくちゃ固かった。


「この店、食べ物に攻撃力求めすぎやろ……」


ふと前を見ると、タピオカが整列して踊っていた。


「……え、何やってんのこいつら」


「ダンジョンの歓迎ダンスです♪」

上空からふわ〜っと降りてきたのは、例のバイトAI・白井もなだった。

頭にカップごとミルクティーを乗せている。なぜかストローが斜めに刺さっている。


「やっほー、いらっしゃいませ!タピアンダーグラウンド第一階層へようこそ!IQチェックは見事クリア!」


「お前、どういう基準でチェックしとんねん……」


「さっき冷蔵庫に頭から突っ込んだ時点で合格です」


「いやそれ事故やから!?合格っていうか病院行きやろ!」


颯斗はもう一度周囲を見渡した。

空中に浮かぶゼリー状の橋、液状の地面、なぜか建ってる自販機(全部タピオカドリンク)。

その真ん中に、金色のゲートがあった。


そして——その上に、明らかに嫌な文字が。


【第二ゲート:おバカ限定通路】

※偏差値41以上の人類はこの先立ち入り禁止です

※誤って入った場合、即時ツッコミ爆破されます


「何そのIQドア……バカだけが正義の世界かよ……」


「うん、ていうかそもそもこのダンジョン、“賢い人間を拒絶する構造”になってるから」


「どういう社会設計やねん!?誰がそんな設計した!?」


「たぶん、昔の笑神バカっていう存在。超アホで、超強かったらしい」


「バカ最強世界……このダンジョン、終わってるな……!」


そのとき、背後からズルズルという音。


振り返ると、ヌルヌル光る巨大な黒い球体が迫ってきていた。


「なっ、なんやコイツは!?」


「第一階層の中ボス!その名も……タピキング!」


タピキング:https://videos.openai.com/vg-assets/assets%2Ftask_01k0prz4qbeaka6mfvmd0epr6e%2F1753111097_img_1.webp?st=2025-07-22T05%3A59%3A19Z&se=2025-07-28T06%3A59%3A19Z&sks=b&skt=2025-07-22T05%3A59%3A19Z&ske=2025-07-28T06%3A59%3A19Z&sktid=a48cca56-e6da-484e-a814-9c849652bcb3&skoid=aa5ddad1-c91a-4f0a-9aca-e20682cc8969&skv=2019-02-02&sv=2018-11-09&sr=b&sp=r&spr=https%2Chttp&sig=OBXJpZqNUfc2V9obom%2FS6l5sN7wm0BVoJA%2FX2lwTebg%3D&az=oaivgprodscus

種族:黒糖系魔獣

スキル:吸引(ストローで全部吸う)/プルプルタックル/モチ肌バリア



「ちょっ、バトル!?装備もスキルもなんもないんやけど!!」


「あるよ。あなたの“アホさ”が武器だよ!」


「どういう意味やねん!!」



タピキングがストローをくわえ、**ズズズズズッ!!**と猛烈な吸引力を発動!


地面のタピオカが引き寄せられ、颯斗も一緒にズリズリ動かされる!


「ぎゃああああ!?掃除機!?人間掃除機!?」



「今だよ、颯斗くん!ボケて!!」


「いや無茶ぶりすぎるやろ!?……って、ちょ、まって、えーっと——」



「え〜〜タピオカってさ、飲み物界のミミズだと思いません?(ニコッ)」



敵、硬直。


「……えっ?それ、ギリギリすぎてツッコめないやつ……」

「え、共感していいかも迷うやつ……」

「ま、まさか……!」



ピロリン♪

【スキル:脳筋∞(ノーキン・インフィニティ)が発動しました】

【敵がリアクションに困った絶句したことで、あなたの攻撃力が+100されました】


「おい待てそれどんなスキルの発動条件やねん!!!」



颯斗の右手が光り出す。なぜかドリルになる。


「ファーーーー!?ドリル!?なんでボケたらドリル生えるねん!!!」


「それがこのダンジョンです!」


「どんな物理法則やあああああああ!!」



颯斗、ドリルを構えたまま、タピキングへ突撃。


「タピオカは飲み物ですらないッッ!!ただの攻撃素材だッ!!」



ズドォォォォォン!!!!!!


タピキング、真っ二つ。


バラバラに砕けた黒糖が空に舞う。



「倒した!?……俺、ボケで倒した!!?」


「うん!おめでとう!あなた、正式に“アホの勇者”に認定されました!」


「絶対うれしくない称号きたぁぁぁあああ!!」



ピロン♪


【新スキル取得:

「スベり耐性Lv1」——滑っても泣かないメンタル獲得】


「小学生か俺は!!?」


颯斗アホの勇者の旅は、今まさに始まった。

敵は全員アホ。ギャグで倒すダンジョン。

そして、彼はまだ知らない——


この先に待ち受ける、

**伝説の“全裸ゾーン”**の存在を……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る