第2話

(いい天気だ)

スペースジャーニーが彼専用の牧場に出てそよ風の音に耳を澄ませていると、星青年が幼児用オモチャのミニチュアを草の上に並べていた。

「何だそれは?」

ジャーニーは左目だけ輪眼と呼ばれる馬の三白眼になった。

その特徴的な目は見るものをひるませる程に妖しくいぶかしい表情を作ったが、星青年は「ああ。これはチャーミングちゃんというオモチャのミニチュアなんだ。来たらこれで遊ぶから置いといてって」と笑顔で答えた。

「こんなに小さなオモチャで遊ぶのか」

ジャーニーは小さなキリンや四つ足に車輪のついたパンダの乗り物のレトロなオモチャに鼻先でそっと触れながら一人ごちた。




ジャーニーが馬房へ戻って水を飲んでいると、牧場から話し声と嗅いだことのない果物の香りが風に乗って流れてきた。

急いで牧場に戻ると小さな茶色のウサギたちがチャーミングちゃんで遊んでいた。頭にポンポンや熊耳のついた帽子をかぶり、長袖のピンクや黄色で統一したロンパースを思わせる服を着ている。

(これは・・・。森の妖精か!?)

急に木々や草花がいっせいに爽やかな香りを放ちスペースジャーニーは濃厚なフィトンチッドに包まれた気がした。

「はじめましてジャーニーちゃん。お友達登録をありがとう」

「これは私達が作ったのよ。甘いから食べてね」

茶ウサギたちははにかむように笑いながらかごに盛ったみずみずしいラズベリーの山を差し出した。

(妖精が作った果物だって?!)

スペースジャーニーはラズベリーの甘酸っぱい香りをかいでワクワクした気持ちになりキュルンと愛らしくかわいい目になった。

(あの子が会いたがるかも)

ジャーニーは幼いケッティを思い浮かべるとチョコンとピンク色の舌を出した。

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