第11章『鉱山都市の激闘』
黒幕の存在を知り、一行が次に向かったのは、岩山に囲まれた巨大な鉱山都市だった。街は常に黒い煙と砂埃に覆われ、活気というものがない。道行く人々の瞳は虚ろで、まるで生きた屍のようだった。「ひどい……みんな、希望を失っているみたい」。リリアーナが悲痛な声を漏らす。この街は、何かに深く蝕まれていた。
酒場で働く老婆の話によれば、この街は監督官の圧政に苦しめられているという。「監督官様が持つ『震天の槌』に逆らうことは、死を意味するんじゃ……」。その槌は、大地を揺るがし、岩盤さえも容易く砕く力を持つ。元々はクライヴが採掘用に作ったものだったが、今や人々を縛り付ける恐怖の象徴となっていた。
「俺たちだけで乗り込んでも、奴隷たちが動かなきゃ意味がねえな」。ガルドの言う通りだった。クライヴは意を決し、夜陰に紛れて奴隷たちの居住区へと忍び込む。リーダー格の男に接触するが、彼の瞳は諦めに満ちていた。「あんたたちだけで何ができる。あの槌の前では、誰もが無力だ」「その槌は、俺が作った。だから、弱点も知っている」
クライヴの言葉に、男の瞳がわずかに揺れた。「あんたを信じていいのか?」「ああ、必ずこの街を解放する」。作戦は決まった。反乱の狼煙が上がると同時に、ガルドが正面から敵の防衛ラインを突破する。リリアーナは後方から奴隷たちを援護し、クライヴは監督官の元へ向かう。自由を懸けた、最大の賭けだった。
翌日の夜明け。「今だっ!」。奴隷たちの鬨の声が、夜明け前の静寂を破った。それに呼応するように、ガルドの獣のような咆哮が轟く。「オラァッ!祭りの始まりだぜ!」。彼は監督官の砦の城門を、地砕きのガントレットで粉々に打ち砕いた。反乱の火蓋は、今、切って落とされたのだ。
「道を開けやがれ!」。ガルドはまさに、進撃する獣だった。重い盾を構えた兵士たちの壁を、まるで紙細工のように吹き飛ばしていく。「ハッ!そんな鉄くずじゃ、この牙には通じねえぜ!」。彼の豪腕が、奴隷たちの進む道を切り開いていく。その姿に、諦めかけていた男たちの瞳に、再び闘志の光が宿った。
「みんな、勇気を出して!自由はすぐそこよ!」。リリアーナの澄んだ声が、戦場に響き渡る。彼女が放つ風の魔法は、ガルドがこじ開けた道を敵に塞がせまいと、防衛線を維持する。「クライヴ、監督官は砦の最上階よ!気をつけて!」。彼女が作った風の道を通って、クライヴは一人、敵の本丸へと駆け上がっていった。
砦の最上階で、監督官は玉座にふんぞり返っていた。「愚かな虫ケラどもが……。この俺に逆らうとはな」。彼が手に持つのは、巨大な戦鎚『震天の槌』。クライヴが作った武器の中でも、随一の破壊力を誇る。「貴様が反乱の首謀者か。その槌の本当の恐ろしさを、その身に教えてやる!」。監督官が槌を振り下ろすと、足元の床が砕け、凄まじい衝撃波がクライヴを襲った。
「くっ……!」。衝撃に耐えながら、クライヴは監督官の隙を窺う。槌の一撃は重いが、その分、振り上げた瞬間に背中が無防備になる。「リリィ、今だ!」。クライヴの合図に呼応し、砦の窓を突き破って風の矢が飛来する。「なっ!?」。背中に矢を受けた監督官の体勢が崩れる。その懐に、クライヴの『無銘ノ剣』が深く突き刺さった。
監督官が倒れると、震天の槌は主を失い、その輝きを失った。街には解放を喜ぶ人々の歓声が響き渡る。戦いの後、クライヴたちは監督官の執務室から、組織の紋章が刻まれた通信用の魔法石を発見した。そこには、武器の流通経路や、各地に点在する他の拠点の場所が記録されていた。黒幕の巨大な陰謀が、ついにその輪郭を現し始めた瞬間だった。
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