第10話 冒険者ギルド
「やぁやぁ、初めましてかなー?」
冒険者ギルドの扉をくぐるなり、突然声をかけられた。
眼の前には1人の小学生かと思える少女が立っていた。
頭には赤いバンダナを身に着けており、制服を着用していた。
「これはこれは、奴隷上がりのバスター君じゃないですか」
「ギルマス、今日は新しい冒険者を拾ってきたぜ、俺のリーダーだ」
「へぇ、バスター君にしては面白い事をしてくれるじゃないのおおお、わたしはデル王国冒険者ギルドのギルドマスター、ウェボシじゃ」
「お前がか?」
ケンシンは驚きの声をもらした。
なぜならどこからどう見ても、小学生くらいの少女にしか見えないという。
そのギャップがあまりにも驚きを隠せない原因となっている。
「そうじゃ、ふむふむ、ではでは、冒険者ランクを決めようではないか、この本の上に手をのせるのじゃ」
「ああ、いいぞ」
ウェボシに言われて、カウンターの上に置いてある本に触れた。
すると、ぱらぱらと本のページが捲りあがると、Zランク冒険者というページに至った。
「ふむーこれはまったく想定外じゃのう」
「で、ケンシンのZランクってなんなんだ?」
「そうじゃのう、記録に残っているのだと、勇者よりさらに強いという表記じゃったはずじゃが、あまり残されておらんでのう、わからんのじゃ」
「勇者よりって、そりゃーやばいんじゃ」
「まぁ良いじゃロウ、Zランク冒険者に認定しよう、手の平を出してくれ、そうすれば登録が完了じゃ」
「ああ」
ウェボシがケンシンの手の平にハンコみたいなものを押し付けると。
なんと、ケンシンの手が光り輝いた。
次の瞬間には、光が消えていった。
頭の中に声が響いたのはその時だった。
【冒険者になりました】
という、ゲームちっくな謎の声に驚きつつも。
「謎の声が聞こえたという事で、大丈夫じゃろう、さてと、何かクエストでもこなしていくかい?」
「ああ、Sランクのクエストを受けたい」
冒険者ギルドにいた全員がケンシンの顔を二度見していた。
ひそひそ声が聞こえてくる。
「まじか、あいつ、バカなのか?」
「いくらなんでも、Zランクになったからって、調子にのりすぎでは?」
「あんなん、どうせSランクにぼろ負けで撤退だぜ」
「ギルドマスターが許すはずがない!」
ギルドマスターのウェボシはそんなひそひそ声が聞こえているようで、辺りを見回してくっくっくと声を潜めて。
「良いじゃろう、勇者が戻ってこないもんでな、魔界の森からおびただしい量のアンデットが魔界の森からやってこようとしておる。既に近くの村や街は壊滅状態。アンデットのボスをグールキングじゃのう、そやつの討伐を頼もう」
「ああ、いいぞ」
その場の全員が騒然としだす。
「あいつはバカだ」
「グールキングって、人を食べてさらに強くなるモンスターだろ?」
「あいつが食われたもう人類に勝てる要素がないのでは?」
「そもそも、Zランクがどのくらいの強さなのかすら分からないぜ」
「以外としょぼいかもしれない」
またひそひそ声が始まる中で、ウェボシギルドマスターがにやりと表情を崩す。
「地図を出せ」
「おう」
「ここじゃな、ここにおるという情報がある。伝説の遺跡の近くじゃな」
「そうか、助かる」
ちなみに、コミュ障男のケンシンは子供が苦手だったりする。
だが、眼の前の子供はどこか老婆のような子供だったので、意外と顔を見て話せたりするものだった。
「そこのお嬢さん達も冒険者登録を済ませるのじゃロウ?」
ウェボシがにやりと。
他の冒険者達もにやりとするが、残念な事に彼等は絶句する事となった。
その日、リリィ、エル、チャテは冒険者Sランクと任命されたのであった。
ちなみに、高速のシーフ:バスターは冒険者ランクAだったりする訳だが。
「なんという化物の集まりパーティーなのじゃろうか」
後ろからそんな声を聞いた気がする。
なんとなく、ケンシンは後ろを振り返って、老婆のような少女ウェボシを見ていた。
「どうしたんでい? 行かないのですか」
「いや、バスター、あのギルドマスターは只者じゃないな」
「へぇ、気付いた? ウェボシさんは元SSSランク冒険者なんだよ」
「そうなのか? 年齢が見えないのだが」
「うーん、ウェボシさんは何かのスキルで若い状態を維持しているっていう話だよ」
バスターが呟く。
「この世界のスキルはなんでもありだな」
「そうかもしれないねぇ」
バスターがうんうんと頷く。
そうして、一行は伝説の遺跡の近くにある村に向かった。
グールキングを討伐する為に。
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