第12話 俺という存在の価値
俺はその日、帰宅途中で急に雨に降られた。
全身が濡れて気持ち悪かったが、まあ俺は家に帰れば王様みたいなもんやし、タオルくらい誰かが持ってくるやろと思ってた。
玄関を開けると、見慣れない若い男が立っていて、手に箱を持っていた。高そうなお菓子やった。
当然、俺の頭の中には「これは俺が食べるもんやな」という考えしか浮かばん。
父親が「お前の分はないぞ」とか言ってきたけど、そんなもん関係あるか。
その男──今宮とかいうやつ──も「義兄さんもぜひ」と笑ってたし、つまり俺に食えってことやろ。俺は家族の一員であり、この場で一番大事にされるべき存在なんやからな。
俺は当然のようにリビングへ。四角いテーブルで俺はお誕生日席に座った。真ん中には洋菓子。
まず一つ食べて、喉に詰まりそうになったけど、妹が慌てて二つ目をくれた。やっぱり俺のことは気にかけてるんやな。
その間、父親と今宮が何か話してたが、興味はない。俺が主役やから。
ふと思いついて、「今宮は菓子パン好きか?」と聞いてみた。俺が気になったから聞いた。それだけのことや。
やがて今宮が「結婚させてほしい」と言い出した。
なるほど、妹を嫁にもらう気か。ならば条件がある。俺を養える覚悟があるかどうかや。家族になるなら、俺を中心に回る生活を送ってもらわんと困る。
「俺も養うんやで?」
当然の発言をしただけやのに、場が凍った。理解力のない連中やな。
さらに年収を聞いたら、妹が遮ってきた。まったく、自分の結婚相手が俺をちゃんと養えるかどうか確認するのは兄として当然やのに。
結局、父親と母親と妹に押し出されて二階に戻された。
しばらくして父親が呼び出してきたが、俺は筋を通すだけやった。
「俺の家族になるなら、俺を養う義務がある」
それを聞いた父親は激怒。殴ってきた。
理解できん。俺はただ正しいことを言っただけやのに。
「養えないなら、こっちから断る」
俺の方が選ぶ立場やのに、それすらわからんのか。
結局、父親とは口論になり、二階に戻って鍵をかけた。
ああ、ほんま家族ってやつは、俺を大事にする以外の行動をとるもんやないんやけどな。
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