鹿鳴館。夢か幻か。現実か。
こだいじん
第1話 木戸孝允の独り言①
龍馬の場合。
「なんじゃこりゃあ!えらい煌火やかじゃのう!ええもん食べとるかえ?こがなとこで何しとるんじゃろ?」
…って、興味津々で色んな人に話しかけまくるんだろう。
あの男は太陽の様に気さくに見えて、人をみる目がある。
そして、鹿鳴館の目的や、そこで踊る人たちの様子を見たら、こう言うに違いない。
「ははーん、こりゃあ外国との付き合い方じゃのう!けんど、なんかこう、腹の底から分かり合えとる感じがせんのう。もっとこう、日本のええとこ見せんといけんがぜよ!」
と、言うに違いない……。
高杉の場合。
「なんじゃ、このけばけばしい建物は。性に合わんのう…」
って言いながら、眉間に皺寄せているだろうな。
で、中にいる連中を見ては、地元の、萩の方言で。
「なんじゃ、みんな洋装じゃと?着慣れとらんのに無理しおってからに、見てられんわい!」
…って、早速毒づき始めるに決まっている。
そして。
「はあ?なんで桂さんがおるんじゃ?あやつがこんなところで何を企んどるんじゃい。ふん!!こそこそせんでも、堂々と来んか。わしが直接話を聞いてやるわい!」
って言って、真っ先にこんなになった俺を探しにいくだろうよ。
幾ら藩命とは言え。
「木戸孝允」と、改名した事を言っても聞かんだろうよ、高杉の奴は…、全く。
あの二人は、きっと鹿鳴館の華やかさの裏にある、当時の日本の外交や近代化の「建前」みたいなものを見抜いては。
自分たちの考える「あるべき姿」とのギャップに、色々と物申したくなるだろう。
晩年の桂小五郎改め木戸孝允は、大久保利通政権から。
晩年は逃げたくて逃げたくて。
仕方がない心情にいた。
それが、出来ずにいた。
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