第9話

ダンジョンを見つけたよ。

 ダンジョン関連のSNSにスレッドを立てて見た。

 役場への報告書も兼ねて小出しにうちのダンジョンの情報を出して貰う事にした。

 ゴブリン遭遇率とダンジョン階層の深度。

 ゴブリンがある程度群れになると知性を持つ可能性があること。

 具体例とゴブリン達の祭壇とアイテムの写真を出してみた。

 勿論、アイテムの販売リンクは町役場だ。

 SNSは仮名でオーケーだし、販売は役場に任せておけば個人情報保護もしてくれる。

 役場は出所不明で通してくれる事になっている。

 意外と高値がついてるようだ。

 魔石には装飾品と一部科学系の研究に購入されているとか。

 元々、魔石と言われる四角錐を二つ合わせた縦に長い八面体で黒曜石のようなこの結晶は初めにゴブリンを倒した探索者がお約束ならあるんじゃない、と解体したら出てきた物だが、これが壊れなくて夜になるとモワッと光るくらいしか判っていない。

 モンスターも生態研究の為に解剖とかされたらしいが、その過程で魔石を取られたモンスターはその時点で死亡することが判っていることから、これがなんらかのモンスターにエネルギー供給を行っていると考えられその利用も研究されてているようだが、今のところ進展は聞かれない。

 まあ、モンスターを生態研究するにもダンジョンから離れられない為にダンジョン入り口近くに断層X線写真を撮る機械やらMRIやら研究施設を建てたりとか色々研究されたりした。だが魔石の研究は進んでいない。

 この生体解剖などで事件が起こったのがゾンビ事件だ。

 解剖が後回しになってた死んだゴブリンが夜に動き出したのだ。

 こうなったゾンビは首を落とそうが、四肢を絶とうが動こうとする。

 そのおぞましさから死んだ魔物の魔石は抜き取る事を推奨されている。

 まあ、ダンジョンの中ではスライムに処理されるせいか発生してないらしいのだが。

 それでも変わった鉱石としてパワーストーンとか装飾用、大きな物は壊れない性質を利用して削岩機の先端、いわゆるビットなどの利用に一定の需要があるのだが、今回のミニミニゴブリンの魔石はこちらでは大きくても私たちが素の大きさに戻ってもその大きさが変わる筈がないのでカラットサイズだ。今までに無い装飾品として普通のゴブリン魔石より高値がついてるようだ。

 他のゴブリンの貢ぎ物も役場に問い合わせが殺到して嬉しい悲鳴を上げてるようだ。

 こんなへんぴな街が注目を集めるだけでも見返りが有るし、手数料も入る。


ゴブリンの祭壇の写真や、桜川さんの魔法の動画などもかなり反響が上がってその出所を問い合わせが多いしそんな話しは聞いた事が無いからフェイク映像ではとか声があるが、信じなくてもいいよと一切の返答はしていない。

 後は自分で考えればいいさ。こんなダンジョンがあるなんて思いもしないだろう。

 そんな事や自家菜園の手入れとかしている間、ナオは相変わらずダンジョンに行っているようだ。私のレベルもナオのお陰でまた少し上がっている。

 そしてまた週末がやって来て桜川さんがやって来た。

「今日もよろしくお願いします」

 今日も桜川さんは可愛い。こんな美少女がいくらダンジョンが近間にはここしか無いとは言え、毎週私につきあっててよいのだろうか。



 第一層に入ってみる。気配が去って行くと桜川さんが言ってるのでやはりゴブリンに避けられているようだ。

 するとナオが「なーおーー」と啼いてと尻尾を振りながら着いてこいと言うように歩き出した。

暫く歩くと洞窟のようなものが。お、下の階層への階段だ。

 第二層も一層と変わらない平原に見える。するとナオが大きく吠えるように啼いた。

「なーーーーおーーーーーっっっっ」

 すると遠くから地響きと土煙が近づいてくる。敵襲か。私と桜川さんは構えた。

 あれはコボルト?見かけは犬の獣人だ。犬耳に尻尾。顔は人っぽくて全身は毛むくじゃらだが、別の獣の革の貫頭衣みたいなものを着ている。

 桜川さんは魔法を用意しだす。その前にナオが割って入る。危ないぞナオ。

と、コボルト達は一斉に私たちの前にひれ伏した。なんだこれ。

 ナオがまた一声無くとコボルト達はもう土下座状態に。ナオ、お前ナニをしたんだ。

 桜川さんと私は眼を見合わせた。

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