カンフーマスター

私は映画が好きだ。いや、好きだったと言ってもいい。もう、飲みすぎて何が好きかもわからない。たとえば、中高の頃は音楽まみれでジャズからブルース、ロック、パンク、ハードロックなどなど聞いたもんだ。そんな中でも映画はどこか特別だった。ちょうどレンタルビデオが流行り出した頃で私は週末になるとよく寄ったもんだ


・ハズバンズ

多分誰も知らないだろう。ジョン・カサヴェテスの傑作だ。もう見る事はできないかもしれない。1970年代の失速するアメリカをうまくとらえている。ベンギャザラやピーターフォーク、そして監督でもあるカサヴェテス。この3人の人手なしっぷりがすごい。今じゃ無理な映画だな、基本的に暴力的だし、女性蔑視もすごい、暗い人間劇だが、どこか、中年3人の生き様に共感するところがある。しかしカサヴェテスの妙で見終わった後、やっぱりどこか息苦しくも爽快。見事な映画。


・恐怖分子

エドワードヤンの大傑作。台湾ニューシネマの一人に掲げられるが、侯孝賢などとは一線を画す素晴らしい監督だ。映像美。暴力。あってないようなストーリー。ラストのやるせなさと、希望。エドワードヤンの映画は常に絶望と希望が付きまとう。それもコソッとそれを映像に入れたりする。後で考えるとゾワっとする。特にこの映画に関してはとんがっていてすごい。何かで見れるのであれば見た方がいい。それを凌ぐ傑作の「牯嶺街少年殺人事件」はまた後で。


・ニーチェの馬

タルベーラ監督を初めて知った作品だ。それから渋谷のユーロスペースでレトロスペクティブで彼の作品を多数見た。「アウトサイダー」は一番心に響いたな。あの音楽家の顔がもう、映画そのもの。しかし、やっパリ「サタンタンゴ」は度肝を抜かれた。7時間くらいあったっけ。ちょっとそれたがニーチェの馬は永遠に見ていられる映画だ。一週間を娘と父親だけで描いている。キリスト教がどうのこうの言う評論家もいるが、ただただ、親娘二人が食事のシーンでジャガイモを突いていて、無表情でまずそうに食っている場面が本当に素晴らしい。それだけでいい。


・ノスタルジア

タルコフスキーの映画でも最高傑作。何もいうことはない。映像の詩人と言えるだけのことはある。私は大体、物語が嫌いでストーリーがないこの作品が本当に好きだ。だからといってアートビジュアルに偏っていないところが素晴らしい。タルコフスキーについては思うところがたくさんあるのでいつかこんなところででかけたらな。


・天国の門

「ディアハンター」のマイケルチミノ監督作品。ユナイテッドアーティスト社だっけ?会社一個を倒産させた大傑作。今見ても素晴らしい。社会派に偏らず、チミノ独特の叙情に突き進むのが潔い。そのためならいくら金を使っても惜しまない。数分のカットのために当時の機関車を作り、そのシーンを撮るために何フィートのフィルムを回したのは超有名なエピソード。

この映画が相当コケたことで上記の会社は潰れ、チミノ自身もそれ以降映画は撮れなくなるが再度「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」で少しは復活する。ミッキーロークとジョンローンという、80年代を代表する俳優を輩出した。暴力描写もなかなか。「天国の門」は日本とヨーロッパではかなりウケた。


今回はこれまで、タイトルの「カンフーマスター」はアニエス・ヴァルダの傑作。ヴァルダに関してはまたまた後で。


では股。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る