第2話 再会
「…………ふぅ」
それから、数日経て。
……ただ、それはそれとして――
「……これから、どうしようかな」
立ち止まり、ポツリと呟く。もう、お金もほとんどない。こんなぼくでも出来るお仕事で、どうにか少しずつ稼いだなけなしのお金も、もうほとんど……でも、きっともう雇ってくれるところなんて――
「――あっ、いた!」
「…………へっ?」
そんな沈んだ思考の
「――この前は、助けてくれてほんとにありがと! わたしはエルナ、よろしくね!」
そう、太陽のような笑顔で告げる赤い髪の少女の姿があって。
「……あっ、ううん……あっ、ぼくはハイノです」
「……ハイノ……うん、素敵な名前! よろしくね、ハイノ!」
「……あ、うん……その、よろしく」
ややあって、茫然としつつ答えるぼく。すると、続けて満面の笑顔でそう口にする女の子、エルナ。改めてだけど、彼女はあの日の――綺麗な赤い髪に、ぱっちりとしたつぶらな瞳の可愛い女の子で。
「……でもさ、なんで知らないうちにどっか行っちゃうの? ちゃんとお礼も言えなかったし、パパとママにも紹介できなかったし」
「……へっ? ああ、いや気にしなくて――」
「わたしは気にするの!」
すると、さっきとは一転、むすっと不満そうな表情で告げるエルナ。怒っているところ申し訳ないけれど、なんとも表情が豊かだなあと少し微笑ましくなる。
さて、何のお話かというと――川からエルナを助けたあの後、ほどなく駆け寄ってきた彼女のご両親がぎゅっとエルナを抱擁。そして、エルナも二人を抱きしめ返し喜びを分かち合って……そんな素敵な光景に沁み沁みとしつつ、ぼくはそれ以上そこに
「……まあ、それはもういいや。ううん、よくはないけど……それでも、助けてもらった子にあんまり文句を言うのもよくないし。わたし、大人な子どもだから」
「……あ、ありがとう……?」
すると、ややあって誇らしげに胸を張りそう口にするエルナ。……いや、うん、大人というのなら最初から文句を言わないでいただけると……あと、大人な子どもってなに?
「それでさ、ハイノ。あなた、どこの学校? わたしの学校は、この道を曲がって――」
すると、ニコッと微笑み尋ねるエルナ。言うまでもないけど、彼女に悪意なんて全くない。ただ知りたいという純粋な気持ちが真っすぐに伝わるだけ。だから、本当に申し訳ないのだけど――
「……その、ごめん。今は、学校には行ってなくて」
「……へっ? ……あっ、その……こっちこそ、ごめんなさい」
「ううん、気にしないで」
「……それで、パパやママはなんて言ってるの?」
「……うん、いないんだ。二人とも、ぼくが小さい頃にどこかに行っちゃったから……」
「……ハイノを、おいて?」
「……うん」
「……ひどい」
そう伝えると、その綺麗な瞳に悲しみ――そして怒りを
「……ねえ、ハイノ。だったら、ハイノに帰る場所はあるの?」
「……へっ? えっと、それはこれから……」
すると、突然そう問いかけるエルナ。……いや、今の話の流れだと自然なのかも。ともあれ、帰る場所なんてどこにもない。なので、ひとまずでも泊まれる場所をこれから探しに――
「――それじゃあ、これからは一緒に暮らそうよ! わたしの家で、一緒に!」
「…………へっ?」
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