14. いろいろ検証
翌日は朝から忙しい。
俺はステータス検証で寝不足の目をこすりながら何とか起きる。
昨日の稼ぎはアダムの手助けだけで、買い物もしたこともあり、現金が減っている。
今日は稼ぐ日だ。
俺、ハンナ、ギンガはパーティで森に行くことにした。
昨日作った荷台も持っていく。
目的は大きく三つ。
一つは、ハンナの薬草採取。これである程度稼ぐ。
二つ目は、俺とギンガの狩り。 できればゴブリンとウサギ以外がいいな。
三つ目は、荷台そりの検証だ。使い物になるか知りたい。
俺はハンナに言う。
「最初の日、お前が薬草を見つけたとろろに案内してくれるか?」
「はい。こっちです。」ハンナが答え、案内してくれる。
俺とギンガがいる限り、ハンナはあたりを警戒することなく森を進んでいける。
「この前、ここで薬草をとりました。・」
そこは森の中のやぶだった。
見通しが悪いし、あまり効率はよくなさそうだ。
俺は、昨日ハンナがギルドから借りてきた薬草を見せながらギンガに言う。
ハンナもいるので念話は使わない。彼女が俺の作るクランに入るまでは秘密だ。
「ギンガ、これか、これか、これがたくさん生えている場所を探してくれ。・」
なんともざっくりした命令だ。
「ウォン」
ギンガは軽く走りだした。
ハンナが言う。
「ギンガって、本当に賢いね。アレンが言うこと、ちゃんと理解してるよね。」
「ああ、そうだよ。あいつはとても賢い。俺が最強のクランを作るのを手伝ってくれるさ。」
神獣だしな。 言わんけど。
ほどなく、念話でギンガが呼びかけてきた。
「あったよ。」
俺も念話で答える。
「おお、ありがとう。ハンナもいるから、迎えに来てくれよ。」
ギンガが走ってきた。
「ウォン」と吠えると、俺とハンナを案内してくれる。
俺はギンガに念話する。
(できるだけ林道を通ってくれよ。ハンナも歩けるようなところな)(。」
(わかった。)と念話でギンガも答える。
「ギンガ、速いよお」アンナが情けない声を出しながら必死についていく。
じきに、到着した。林道の中から突然曲がり、木々の間を通り抜けていくと、見晴らしの良い草原に出た。・
「ウォン!」ギンガが鳴く。
ハンナが早速探し始める。
俺が言う。
「ハンナ、きのうのことを思い出して、1メートル四方くらいを見渡して、必要な草だけをスキルで抜くんだ。」
言ってなかったが、この異世界は都合のいいことに地球のメートル法と同じ度量衡だし、一年も365日、12か月だ。
「やってみます。」:
ハンナが答える。
しばらくしたところで、俺が言う。
「ハンナ、ストップ。」
もう両手いっぱいに薬草を抱えている。
俺は薬草の束を受け取り、「少し休憩だ。」という。
ハンナはその場所にへたりこんだ。
そろそろマナポイントが限界だったようだ。
俺は薬草を袋に入れて荷台に乗せ、ハンナに近づいた。
水筒を渡す。
「ありがとう。」ハンナはそう言って受け取り、ごくごく飲む。
俺はハンナと両手を握り合って、かごめかごめの輪をつくる。
「またぐるぐる?」ハンナが聞くので
「違うよ。マナを動かす必要もない。ちょっと静かにしてくれ。」
俺はそう言ってハンナを黙らせる。
そして、心の中で、「ステータス、ハンナ」ち言う。
するとハンナのステータスを表示するタブレットが空中に現れた。
成功だ。
ちなみに、ハンナには見えていないようだ。
名前 ハンナ
年齢 12歳
種族 人族
性別 女
魔法 なし
スキル 草取り(特)
状態 やや疲労
特記事項 なし
称号 なし
予想通りだ。特に何もない。いや、草取(特)をタップだ。
「一定エリアの草の全体、あるいは種類を指定して取ることができる。」
なるほど。ハンナの今の能力を記載しているな。今後、このスキルが伸びていったら記載が増えるだろう。
うん。順調だ。
俺はここでもう一つ試してみる。
「マナ表示、ハンナ」
すると、タブレットに
「マナポイントを一緒に表示しますか? YES/NO」
と出た。
当然YESだ。
すると同じページにマナポイント 3/20
と出た。
これはわかりやすい。
俺はハンナに言う。
「ハンナ、悪いけどもう1回草取をやってくれ。」
忠実なアンナは「はい」と言って、俺の手を離し、まだやっていないところに手をかざした。
ハンナの手の中に薬草が一本入り、ハンナは気を失った。
ハンナのステータスは
マナポイント 0/25となっている。
よし、成功だ。
マナポイントを0にすると、マナポイントの容量が上がるということだ。
俺はハンナを草の上に寝かせた。
どうせハンも倒れている。俺もやろう。
俺はギンガに念話する。
「これからちょっと魔法の練習をして倒れる。起きるまで護衛してくれ。」
「わかったー」ギンガは素直でいい子だな。
自分のステータスのマナポイントを見る。
55/60 だ。
やはり称号の恩恵があるせいだろう。ハンナより容量が大きい。
少し減っているのは、道中で魔法の練習をしながら来ているためだ。
減った分がかなり回復していると思う。
大量消費して倒れるにはどうしよう。
よし、これだ。
「特大ぬるぬる」
家の大きさくらいのぬるぬるの球が出来た。
ステータスを見る。 3/60だ。
もうマナポイントもあまりない。
ぬるぬるを消すと、これでポイントが終わりらしい。俺も気を失った。
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