6.一緒の部屋で寝よう


俺たちはギルドに戻る。


黒髪で胸は発展途上の少女、リンが受付に居て、手を振っている。


「待ってたのよ。アレンの支払い終わらせないと、仕事あがれないのよ。」


「それは悪かったな。家は遠いのかい?」

俺が頭をかきながら言うと、


「ここの一階よ。」リンはそう言って笑う。なるほど。ギルドの事務員はギルド住み込みなんだ。


「そうなんだね。まあそれにしても引き留めて悪かったね。」俺はそう言って冒険者タグを出す。


リンは一旦奥に下がり、タグを持って戻ってきた。


「まず支払いね。大ウサギが全部で大銀貨2枚。ウサギが銀貨5枚ね。支払いはどうする?*」


「ギルドに預けられるのかい?」俺は聞く。



「大丈夫よ。」


「じゃあ、銀貨10枚だけくれ。あと15枚分は預ける。何か証明になるようなものは?」




「ギルドのタグで引き出せるわ。本人であればね。あと、死んだとき誰かにあげるかどうかも申告してもらうことになってるの。」


冒険者はよく死ぬからな。仕方ないことなんだんだろう。


「ああ。俺の村の孤児院の院長先生にしてくれ。」


「了解。そうしている人多いよ。まあ、届けると、だいたいの場合、お金より生きていてほしかった、と言いながらもしっかりと受け取るのよね。なんだかなあ。」


「おいリン、お前だって孤児院出身なら、どれくらい孤児院の経営が大変か知ってるだろう?」




「私は大聖堂の孤児院だもの。経営には困ってなかったわ。それに、年上は敬いなさいよ。」

リンは涼しい顔で言い。


「そんなことはどうでもいい。とりあえず手続きしてくれ。お前も帰りたいだろ?」


呼び方はリンでいい、と言ってきたのはリンからだ。文句言われる筋合いはない。


「そうね。」リンはそう言うと、銀貨をを10枚出してきた。


「残りはあずかるわ。これが預かり証よ。まあこの紙がなくても冒険者タグでおろせるけど。」


なるほど。残高を書いてあるだけだな。


[あと、忘れちゃいけない手続きがあったの。」

リンガ言う。


「何だい?」


「アレン、昇級よ。登録初日の昇格は前代未聞ね。」


「へえ。何でだい?」


「ウサギ討伐、大ウサギ討伐、ゴブリン討伐の3つで、昇格条件を満たしたの。これで鉄級冒険者ね。まだまだ駆け出しだけどすごいことよ。おめでとう。」


「そりゃどうも。」俺は鷹揚に答える。


「アレンは凄いのね。」ハンナが言う。



リンは、俺に新しいタグを渡すと、部屋の説明をしてくれる。」


「部屋へ案内するわ。これが鍵ね。」

リンは俺たちに鍵を二つ渡し、奥へと向かう。俺とハンナとギンガが続く。


「ここよ。お手洗いは突き当りね。あと、お湯はその横に魔道具があるわ。桶は部屋にあるから。あと、井戸は中庭にあるから自由に使って。


じゃあね。」



そういって リンはひらひらと手を振って戻っていった。



俺たちは部屋に入る。

ベッドが二つある。あと、隅に藁が敷いてある。そっちはギンガの場所だな。



俺は片方のベッドに座り、ハンナに向かい、「ハンナはそっちのベッドな。という。

ハンナがなぜか「ひゃい!」と妙な返事をした。


俺は部屋の隅にあった桶を持ち、廊下に出て魔道具でお湯を入れる。


「ハンナ、俺はちょっと部屋を出ているから、これで体をふいておけよ。」


「え、アレンからお先にどうぞ、」


「こういうのはレディーファーストだよ。」俺はそう言って、一旦部屋を出る。


ギンガは藁で寝てしまった。


ホールに私服に着替えたリンがいたので、話をすることにしいた。

14歳が夜に盛り場にいていいのか、とも思うが、実際仮成人してるし、盛り場と言っても職場兼自宅みたいなものだ。



「いまギルドに泊まっている新人はどれくらいいるんだ?」


「んー、15人くらいかな。だいたいパーティごとに部屋割りしてる。男女混合だから、いろいろあって面白いよ。」


「お前な、部屋余ってるなら、男女わけてやれよ。 」


「えー、そのほうがいいって喜ぶ男が多いよ。

1か月くらいで痴話げんかが起きるよ。男女関係になる連中も多いからね。」



「、お前、絶対楽しんでるだr。」


「いいじゃん。冒険者は自己責任よ。12歳なら無理すれば子供だって作れるよ。」


「まあ、そりゃそうだが、子供が孤児院に捨てられたら可哀そうだろう。」


「どうなるかなんて知らないわ。私は部屋割りをするだけ。だいたいアレンもハンナと一緒で嬉しいでしょ?というか、ハンナが望んだのよね。 やっちゃえば?」


リンはいたずらっぽく笑う。 お前、童顔の癖に言うことがえぐいな。


「俺は、お前を含めガキに用はない。せめて17くらいになって胸が大きくなってから来い

大きくならないなら来なくていい。」




「何、アレンも大艦巨乳主義者なの?」


「いや。俺は博愛主義だ。みんな違って、みんないい。平たい乳でも垂れた父でも、触れる乳はいいおっぱいだ。」


「何だかよくわからないけどお下劣ね。」


「まあ、少なくともお前には当分手を出すことはないから安心しろ。」


「見向きもされないのもつまんないわね。」」


「俺は熟女好きだ。覚えて置く必要はないが。」


「じゃあ、娼館でも行くのね。おばさんたちが沢山よ。」


「ま、金が溜まったらな。それには時間がかかりそうだけど。」


「ほかのものが先に溜まりそうね。」


「ほっとけ。ガキに言われたくないわ。」

「失礼ね。これでもモテるのよ。」


「でも、そう簡単には落ちないだろ。そうじゃないとギルドの受付なんて勤まらない。」



「わかってる、というか達観してるのね。30のおっさんみたい。」


「とりあえず、俺はお前個人には興味がないからな。俺は今、世界の真理を解き明かそうとしてワクワクしてるんだ。


お前には全く興味がない。だからお前は今の俺には価値なんてないんだよ。


ギルドの受付という機能は使うけど、それはお前でなくてもいい。あの巨乳の姉ちゃんでも、ちょっと寂しい姉ちゃんでも、いざとなればあのしょぼいおじさんでもギルド職員という機能では同じなのさ。」


「何その上から目線。」

リンは呆れたように言う。


「俺は世界の真理のほうが興味あるんだよ。ハンナは、それを解き明かすために必要なんだ。


だが事務スキルのお前には用がないんだよ。」


「そんなこと言って,後から口説くんでしょ。その手には乗らないわ。」


「わかってない奴だな。世の中、リンより美人は山ほどいるし、たぶん世界の大人の二人に一人はお前より胸が大きい。将来俺は金には困らないからな。金の力で何とかするさ。



あえてお前に拘る必要はない。


お前から迫ってきたとして、暇だったら相手してやってもいい。

だが付きまとわれるのはごめんだな。


まあ、お前がほかの男に付きまとわれるのが嫌だけどムラムラ感じたら、その時は相談に乗ってやるよ。


単なるワンナイトだろうがな。何番目かの愛人くらいになら、してやってもいいかもな。」


「そんなのはお断りよ。私は貴族に見染められるのよ。」


「不細工でアホな 脂ぎったデブ貴族が権力でお前をものにするって愛人狙いか。せいぜい頑張れ。」


「ひど~い。」


こんな馬鹿話をしているうちに時間が経ったので、俺は部屋に戻る。


ラッキースケベは無く、ハンナはすでに眠っていた。



まあ、発育不良の十二歳なんて、どうせ興味はない。


それよりは魔法とスキルの秘密を解き明かしたい。


俺も湯を取ってきて、体を洗ってベッドに入る。

魔法を出したり消したりするうちに、俺も眠ってしまった。



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作者です。もちろん、全年齢向けですから、いかがわしいことはありません!




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