3話
◆ショー
翌日、登校した勇は、元気になっていた。涼は言った。
「もう、大丈夫なのかい?」
「一晩ぐっすり寝たら、元気出た!」
「よかった」
近くでそれを聞いていた晴は安堵のため息をついた。
一方、勇は愛の所へ行き、こう言った。
「ね!愛ちゃん、今度の休みさぁ?『秘密ソルジャージュエル』のヒーローショーがあるんだ!一緒に行かない?」
「えっと、何で?何で私を誘ってくれるの?」
「えっ?『秘密ソルジャージュエル』をかっこいいって言ってくれたじゃん?」
「あ、うん、そうだね?」
愛の顔色は、少し変な物だった。しかし、その愛は、こう返した。
「1回だけなら、行ってもいいよ?」
「わー!じゃあ行こう!!」
それを遠目で聞いていた晴は勇と愛の所へ行き、言った。
「俺も、行っていいか?」
晴に遅れて涼も言う。
「僕もいいかな?」
勇は目をキラキラさせ、こう返した。
「もっちろんだよ!!4人で行こ!行こ!!」
そして、休日が訪れる。勇、涼、晴、愛は集合し、「秘密ソルジャージュエル・ヒーローショー」を観始める。秘密ソルジャージュエルは、こう言った。
「シークレット・クリスタル!インストール!!」
勇は言った。
「変身したぁ!!」
「輝き、無限大。秘密ソルジャージュエル!ここに降臨!!」
ルビーを思わせるコスチュームに顔ごと包まれた秘密ソルジャージュエルを見る勇の目はキラキラ、その顔はニンマリ。それを涼、晴、愛は笑いながら見た。
興奮する勇を3人が見守る時間が過ぎ、秘密ソルジャージュエルはこう叫ぶ。
「放出!プリズム・オブ・プロテクション!!」
勇はすかさず言った。
「必殺技だっ!いっけぇ!!」
そして、秘密ソルジャージュエルの「敵」は、撤退した。
勇は恍惚の表情で言う。
「やっぱり、かっこいい!やめられないよー、秘密ソルジャーシリーズは」
愛は言った。
「ヒーローショーなんて、初めて観たけど、意外と楽しかったよ」
勇の目のキラキラさが増す。そして、言った。
「本当に?やっぱりかっこよかった?」
「う、うん。そうだね」
そうして、4人は帰宅する事になった。勇は、帰り道他の3人に今日の興奮と「秘密ソルジャーシリーズ」のうんちくを聞かれてもいないのに話す。涼、晴、愛はそれを受け止めてくれた。
◆自分もヒーロー
しかし、穏やかな時間は、そこまでだった。周囲が騒がしくなる。勇は言った。
「なんか、嫌な予感するんだけどっ?」
涼と晴の顔は、険しい物だった。愛は戸惑うばかり。その愛はこう言った。
「えっ?何?」
勇は叫ぶように言った。
「愛ちゃん!ごめん、先に帰ってて!!」
「う、うん」
愛は、言われた通りにその場を離れたが、気になって物陰に隠れながら勇たちの様子を見ることにした。
一方、勇たちは騒ぎがある方向に走って行く。すると、予感は当たり、カラミティがいた。晴が苦々しそうに言う。
「ふざけてんじゃねぇ!」
勇、涼、晴は声を張り上げた。
「解き放て!守りの力!!」
3人は、変身。そして、名乗る。
「はためく翼は強き盾!アースセイバーウイング!!」
「流るる水は大いなる癒し。アースセイバーウォーター」
「荒ぶる炎は確かな希望!アースセイバーファイア!!」
最後に叫ぶように言った。
「レッツ!セイブ!!」
ウイングは、先陣を切ってカラミティに対峙する。翼からの羽根の盾を早速人々に与え、カラミティにパンチを見舞わせる。そんな中、ウォーターは言った。
「バイオレットとオレンジはどこだい?」
ウイングは返す。
「そう言われれば!どこっ?」
ファイアは言った。
「どっかに隠れてんだろ?カラミティ倒して、引きずり出すしかねぇな?」
ウイングは返した。
「よーし、やるぞぉ!!」
ウォーターとファイアは先手必勝と水の洗い流しや炎の燃やし尽くしでカラミティを消滅に追いやる。
ウイングはひたすらパンチを繰り出すが、もっと強い力でパンチを出したいと思うようになった。
「どうしたらいいだろう?もっと!強くカラミティにパンチ、やりたい!!」
それを聞いてか聞かずかウォーターが空に飛び上がる。ウイングは感嘆の声を上げた。
「えっ!僕たち飛べるっ?」
試しにウイングは飛びたいと念じてみた。すると、飛べた。
「おおっ!飛べたぁっ!これならっ!!」
落下の勢いを借り、強いパンチをウイングはカラミティに浴びせけける事が出来た。ファイアは言った。
「ナイス!!」
そんな様子を、物陰で愛は見て、こう言った。
「ゆ、勇くんたち、つ、強い。で、でも、あの怪物?こわい」
そうしていると、カラミティは全滅。この日は「補充」が無かった。ファイアは言った。
「これで、終わりか?」
ウォーターは言った。
「そうみたいだね」
ウイングは言った。
「バイオレット!オレンジ!どこっ?」
そうウイングが言った瞬間、脅威が去った事を感知したのか、変身が解けた。勇は続けて言った。
「あの2人を倒さなきゃ、カラミティは止まらないみたいなのに」
その様子を、バイオレットとオレンジはビルの屋上からスーツ姿の「地球人」として見ていた。バイオレットである男は言った。
「地球の守護者、俺様たちはここだぜ?」
オレンジである女は言った。
「わざわざ顔を見せる程の事じゃないわ」
そして、2人は、ビル内に消えて行った。
一方、勇。愛に駆け寄られていた。
「勇くん!」
「えっ!愛ちゃんっ?帰ったんじゃ?」
「み、見てた」
「危ないよ!」
「ご、ごめん。で、でも、勇くんたち、かっこよかった。勇くんたちもヒーローじゃん!」
疲労の色に染まっていた勇の目はその愛の言葉に、キラキラし始めた。
「僕!ヒーローに見えたっ?ホントっ?」
そんな勇は、愛の頷きを見た。
「やったー!僕、ヒーローだー!!」
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